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2014年1月28日 (火)

2014年の005「ヌイグルマーZ」

 今年最初の井口昇監督作品だ。彼の監督作品を全部が好きなわけではない。エログロナンセンスを地で行く作品も好きには好きだが、ちょっと引いてしまうときもある。

 ただ、この「ヌイグルマーZ」は自分にとって待ちに待った作品だった。そしてそれは間違いなかったと思う。
 武田梨奈が主人公の変身後をやるということが一番の興味だった。

 彼女は類まれなる能力を持っているけど、空手家出身であり、デビュー当初から身体能力は見せ付けるものの、空手を生かした作品に出ていたせいで、見せるアクションが弱く悪路バティックではあるけど、結局体重差とかそういったところで押されてしまう演出になってしまう。前回タッグを組んだ「デッド寿司」でもそれは変わらなかった。ところが今作はJAEの宮崎剛監督がアクション監督になったので、違いが大きく出るだろうと思ったのだ。

 どんなに強い人でも、絵になるかどうかは別の要素がいる。

 それから、もう一つ気になっていたのは、中川翔子が主演だということだ。彼女はいまでこそオタクアイドルとして知らぬ人はいないほどになった。自分は「特捜戦隊デカレンジャー」のEpisode.38にゲストで出演したとき初めて彼女を認識したのだけど。最初の印象はアテレコがうまいだった。そして若くして死んだ中川勝彦の子供だと知って、それ以来、ずっと気になる芸能人になっている。
 実は映画ではヒロイン役で「兜王」に出たりしていたのだが、主演は近作が初めてだった。どんな演技をするのだろう?主演であれば逃げられない部分もあるので、その辺が俄然、気になったのだ。

 そしてもちろん監督が井口監督だということだ。観てみると今作は初タッグの人たちがいることもあってか、演出に新しさを感じるところも多かった。OP、EDの絵の作り方やアクションシーンでの回り込み、長回し、それからいつもよりも多めだけど安すぎないミニチュア特撮もそうだ。

 しかし、基本的にいつもの井口脚本で一見心のこもった台詞が上っすべりする狙ったような少しズレたギャグが入る。その合いの手のようなギャグに笑うという部分は変わらなかった。

 たとえば主人公のダメ子がロリータファッションに開眼するシーンの前後のあのチープな絵面なんかがそうだ。元は低予算ならではのテレのようなものなのだろう。けど、それをうまく笑いにつなげられ、自分はうまくノせられた。こういったものが随所に現れるので苦手な人には待ったく受け入れられないだろうなと思いながら、自分はニヤニヤしていたのだ。

 確かにそういったものはアクションシーンでもないわけではない。しかし、重要なところでは最近ヒーローアクションで足りないなと感じていた大げさで様式的ながらもキメキメのヒーローらしいシーンがちりばめられていて、嬉しかった。そしてそこになぜか意味ある言葉が垣間見える。そのせいでOPから泣けてしょうがない。井口監督作品であるはずが無いと思っていたので、自分で驚いたくらいだ。

 オリジナルの「ヌイグルマー」は男性の歌だった。本当に「ヒーロー」の歌だったのだ。今作はそれを女性主人公の物語に改変し、しかし、原作者が快く許してくれて、主役の中川翔子がボーカルに参加して、女性が主人公の映画主題歌「ヌイグルマーZ」となった。その結果、映像とともに抜群にアガる曲になっている。

 楽曲「ヌイグルイマーZ」が、大槻ケンヂの詞が、井口監督の映画に意味のある熱い言葉を授けてしまって、作品の熱さを後押ししてしまうのだ。原作者サマサマである。それ以外にも大槻ケンヂ率いる特撮の曲が掛かりまくり、劇伴が切れるのは10分無いほどの珍しい熱い映画になっていた。

 そういう点もあって現時点の井口監督作品で一番間口が広く、そしてたぶん一番熱い映画になったと思う。

 井口監督作品ファンには間違いなくお勧めする。ほかの人に伝わりるといいな。

P.S. 昭和特撮っぽいチープな表現が散見されるのは予算もだろうがたぶん監督独特のオマージュだろう。そういった話がどこかで漏れ聞こえればなぁと思う。

P.S.2 ネオ高円寺のゾンビの盆踊りを押さえ込むシーンで市道真央のボーカルバージョンの「ヌイグルマーZ」も掛かる。別所女性の声のバージョンが入ったのであれ?っと思ったが初日舞台挨拶でそこへの言及があった。

「ヌイグルマーZ」公式サイト
http://ngz-movie.com/

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