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2014年5月26日 (月)

2014年の025「キカイダー REBOOT」

 思いの外悪くなかった。少なくとも、ライダーや戦隊よりは対象年齢を上げてジュブナイル小説のようなテイストがある映画に挑戦できてる。

 ただ同時に、2年も掛けてこのシナリオに落ち着くしかないのかと思うと、世界で勝負するのは難しそうだなぁと思った。
 最初のコミカライズも好きだったし、今観れば頭を抱えるようなオリジナルも大好きだった。そんな自分も含めてなのだろうけど、この中二病を拗らせた4、50代が描いたような世界観で海外に打って出るのはつらいなぁと思ったのだ。世界観が安い。
 ストーリー上、マッドサイエンティストがぞろぞろ出てくるし、政府は陰謀張り巡らしてるし、アニメなんかで観ちゃうと鼻で笑っちゃうような設定をベースにやっちゃってるんだけど、こんな狭量な感覚が前面に出ていて、底浅い感じで残念だった。

 これが、リメイク版「電人ザボーガー」のように無茶苦茶なオリジナルを単純に今の技術でスゴくする事に専念したような作品だとすんなり受け止められるのだけど、中途半端に現代感覚を入れたりすることが、昨年の実写版「ガッチャマン」を思い出した。この2作品の中間くらいに位置じゃないかな。感覚的には。

 制作側はオリジナルの実写にリスペクトをしているし、端々にそういう部分が感じられるけど、同時にそれをリアルに持っていった物との間が上手くつなげられてないもどかしさがあふれてる。

 サングラス黒服の追跡者っていつの時代のイメージだよとか、これだけSNSが発達して作中でもスマホは存在するし、クラウドの話を(奇しくもKADOKAWAの井上専務が演じている)しているような世界なのに、映像情報源は相変わらずテレビだし、その統制についてもおざなりな感じがする。

 けど映像だけについて言えば、予算の使い方は上手くって後半への盛り上げ方も良い。リアル感にこだわったせいか、逆に冒頭の襲撃シーンとか先に挙げた黒服とか「え?」と思うのだけど。

 あと造形物は1点除いて本当によく出来てた。「あれ?」と気になったのはキカイダーの黄色いラインがフェルトのように見える生地で、選択した理由はあるのだけど、ゴムとかに出来なかったのかなと思いながら観ていた。(高電圧絶縁用の工事の際に電柱に巻くゴムなんかだと黄色でも意味がくみ取りやすくって成る程と思うのだけど毛羽だって見えるんだよなぁ)けれどキカイダーは壊れた身体とともに何体作ったんだろう?最後のまさしく装甲がボコボコになるシーンをCGでなく実写で再現してたのには驚いて、ニヤッとした。これぞ「特撮」の真骨頂だ。

 だから、色々惜しいのだ。その惜しい感じはガッチャマンとは比べものにならないくらい多い。

 特撮はお金が掛かるのだそうだ。プロデューサーの井上伸一郎専務は今では平成ガメラ3部作はお金の面からは作りづらいことを「ガメラパーフェクション」の記事の中で述べている。となると国内マーケットも押さえないといけないけど、コンテンツを生き延びさせるなら、外に出る方法を考えないといけない。せっかく久々の特撮プロデュース作だったから、どう外に打って出るのかって片鱗も観たかったな。

P.S. かつて「超人機メタルダー」というメタルヒーロー物があった。明らかにキカイダーを意識した設定だがたぶん大人の事情でそんなことは言われていない。13話までのドラマ、世界観と最終回への展開、そしてあの別れがとても余韻があって好きだった。あの塩梅が絶妙だったんだなと思う。

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