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2005.05.03

「テレビの嘘を見破る」を見破ろう

 これは私の持論であるメディアは嘘しか伝えない事の補完になるかと、新幹線の移動中のお供にちょうど良い本だと思って買ったのだが、これがとんでもない食わせ物だった。

 この本を読むと「テレビは嘘を付いている。それで良いのだ。」と思うように仕組まれている。

 読者を「ドキュメンタリーでさえ演出しなくては成らない」状況を説明し言い訳へ引き込んでいく。そして、途中で、そうしている事をバラすのだが、これが罠だ。自分は良心的に話しているのだという。

 どういう事かというと「テレビ」全般の嘘が対象だったのに、途中から「ドキュメンタリー」の話にすり替えられている。非常に巧妙だ。うっかり乗ってしまった人が検索でも結構引っかかる。

 テレビの嘘で問題にされているのは人を傷つけたり、ミスリードすることが目的の部分を問題にされているのであって、ドキュメンタリーの演出の話など取るに足りない話。そういう些末なことに気を取られていると、本質を見失う。

 たとえば、この連休にも画面をにぎわせてる、霊能者による行方不明者捜索だとかそういったものも、この人の理屈だと許されてしまう。見る側が見る目が無いのだと。FBIの超能力捜査官など存在しないし、そんなありもしない只の外国人詐欺師にだまされて、一縷の望みを掛けて一喜一憂されるご家族は本当に只のバカあつかいだ。本当に可愛そうなんだが、最近ではもしかしたらそれまで仕込みの可能性もあるかもしれないと疑うようになった。それは「彼」が言うねつ造なんだが、そういったところからうまく目をそらすように作られている。

 この本、多分大半の人は「良かった」という感想を上げているに違いない。「彼」にとっては「シメシメ」だ。「彼」、著者の今野勉はテレビで使ったいつもの手法を書籍でも使っただけだ。こうやってミスリードするという手本を著したに過ぎない。

 こういった物はやはり悪書なのだと思う。

 彼の言った通り、メディアリテラシーはもっと付けるに超したことはない。例の列車事故での報道でも相当なミスリードの罠が潜んでいる。実際に報告が上がる頃には、2次環境で接した人は見た人の大半は忘れているだろう。知らぬうちに自分が取り込まれないようにしなくては。

 この本を読んだ日にあの事故が起きたのは、忘れられまい。

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» 『テレビの嘘を見破る』 [天竺堂通信]
 “幻の魚”を釣る、テレビのドキュメンタリー番組。魚が撮影初日に釣れても、ドラマチックにするため、最終日にようやく釣れたことにする…。  視聴者として許せるか? 判断は分かれそうだ。  本書は、テレビ番組の“やらせ”問題について、ベテランのテレビマン... [続きを読む]

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