映画「姑獲鳥の夏」インプレッション
無難なのだろう。しかし、この感じだったらいっそ極端な駄作だった方が良かったのかも知れない。色んな点が、中途半端なのだ。違和感はいっぱいあるのだが、まとまっていないわけではない。あの膨大なストーリーを良く2時間にまとめたとも思えるし、大筋を一見外していないように書かれている。何かを見聞きして失笑する様なこともない。
監督の実相寺昭雄が特撮ファンに特別視されているのはウルトラシリーズ、怪奇大作戦の中でイレギュラーで実験的な絵作りに挑戦してきたからで、彼の関わった作品全てが良かったわけでもないし、むしろお笑い話などは私の好みに合わないので、好きな監督かと言われると腰が引ける。
映画での彼の代表作「帝都物語」では役者のはまり具合(主人公はどちらも良かった)以外は特撮も失敗しているし、絵作りも往年の奇抜さを感じなくなってきた所為か、面白かったが、同時にこんな物かと思った。その後「ウルトラQ」映画版では絵作りは拾える物もあったが、話は面白くなかった。
以後平成ウルトラシリーズで数作メガフォンを取っている(本当にメガフォン使ってる監督って何人いるんだろう)がどれも不可解な(難解ではない)演出で気持ちを萎えさせてくれた。
今回そんなことはない。無難だ。部分的に彼の片鱗のさらにかけらが見えるが、この程度なら今の若手監督の方が色々やりそうだ。
今回上映館が少なく興行収入がどうなるのか分からないのだが。
今回の視聴では、姑獲鳥が姿を現し消えていくシーンで個人的なことを思い出しグッと来た以外は、あくまで冷静に外から見ている自分が居るだけだった。
私は帝都物語の時もウルトラQの時も次に期待してお金を出したと思っている。しかし、今回は監督への餞になりそうだ。見る人は見ればよい。それぞれに感想を持つだろう。しかし、今回の映画にはみじんも自分の期待した物がなかった。
冒頭の御祓済落款、スタッフ陣には懐かしい人がいたり、水木しげる役の京極夏彦のゲスト出演、あの紙芝居は誰が描いた?などは私のキーワードか。
ただ、扇子とメールガードシールを買ってきたのは内緒だ(笑)
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