108分の?『化学物質』と科学知識
別に年末に108本記事を上げるわけではない。まとめ記事のまとめ見出しであるだけの意味だ。
さて、昨日、帰りの電車の中で、たまたま目に入った全国紙の記事見出しに「おしゃぶりブロック」の危険性というのがあった。おしゃぶりブロックというのは何なのかよく分からないので国民生活センターの情報をとった。
どうも「おしゃぶり」と「ブロック」別々の話らしい。
国民生活センターのサイト
URL= http://www.kokusen.go.jp/
該当の元記事と思われる物
URL= http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20051207_1g.pdf
まぁその些末なツッコミはさておきさらに些末に突っ込みたいところがあったから記事を書いてある。
その記事見出しは「『化学物質』が使われてるから危険だ」というアオリなのだ。目が点になった。よく巷には決まり事でなく印象で科学用語が作られたり、誤用されて使われてあふれているが、これもその良い例だろう。
『化学物質』の定義が分かっていないか勝手に作ったかどちらかである。
『化学物質』という言葉は「化学式で表される物質」という意味が本来の物で、この世の物質はすべからく化学物質だと言っても差し支えがない。人工的に合成したというニュアンスが含められても、たとえばH2O(水)が普通、有害という印象はないだろう。元記事でも間違っては使われていない。辞書にも見出し語として余り採用されていないし、一般的ではないと思うが、記者が間違っているのだ。
環境省の化学物質対策の啓蒙パンフにも「元素と化合物のこと」と書かれている。
環境省化学物質リスクコミュニケーションに関する記事
URL= http://www.env.go.jp/chemi/communication/guide/index.html
ちなみに元記事中ではVOC(揮発性有機化合物)の経口時の危険性について述べている。これはトルエンやキシレンと言った有害性のある物が大半で、構造上含まれるC(炭素)の大気排出が問題であると言うことで、大気汚染防止法などでも来年から総量の規制が始まる。
何が言いたいのかというと、記者が危険性を周知するために記事を書き、情報を伝播することに関しては何にも異存はない。しかし、強く主張したいがあまりに誤用や誇大な表現を行うと謝った知識が一般に蓄積されていく事が問題なのだ。危険な物は正当に糾弾しては行かなくてはいけない事は重々分かっているが、こういった誤用が逆に意図的に騙す人間達に悪用されてしまうこともあるのだから注意しておくべきだ。
「お宅のここには化学物質が使ってあるので、こういう工事をすれば安心ですよ」
とか詐欺のネタは山ほどありそうだし、誤った知識を元に他人を糾弾したときにまともな知識で反論されてはどうにもならないだろう。
そのためにはやはり記者をはじめとした記事を表に出すルートの人間が知識を蓄える必要がある。”ジャーナリズム”ってヤツはなんだか政治や経済が花形で、他をおろそかにする気味がある。非常に心配だ。
最近聞いた話で頭を抱えたのは、携帯電話のペースメーカーへの影響が現れる距離が4mだと主張しておきながら、止めるのも聞かずに、年末の買い出しに人混みに出かける老主婦の話があるが、人混みの中でふと周りが携帯電話だらけな事に気づいてしまいパニックにならないことを祈る。ニュースソースは何だったんだろう?
商品の宣伝文句はもっと注意しないといけない。最近は定義付けを載せてるメーカーもあるようだがマイナスイオンだとかね。20年前のテレビ通販番組で低周波治療器を紹介するのに「この製品は電気で治療するのではなく電子で治療するので安心です」と言うのがあって、ひっくり返ったが全然進歩がない。
もっとも口コミでも伝播するので、全部マスコミや記者の所為にはしないが、根拠を与える行為なので十分気を遣って欲しいのだ。
でもこんなブログだけじゃまだまだだな。
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