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2006.03.04

「NHKスペシャル 気候大異変 第1回 異常気象 地球シミュレータの警告」インプレッション

 平成18年02月18日に「NHKスペシャル 気候大異変 第1回 異常気象 地球シミュレータの警告」という番組があった。独立行政法人である地球シミュレーターセンター<http://www.es.jamstec.go.jp/esc/jp/>が管理しているスパコンでのソフト(と言う表現がだとうか疑問だが)の出力結果を基にした情報を元にしたものである。

 番組自身は「普通の」と言ったら何だが、いたって普通の「地球温暖化現象に警鐘を発する番組」で、ガイドラインを京都議定書が守られた未来(現在折り合いが付けやすい省エネモデルの到達点)の予測を元にしたものになっている。

 見ていて気になったことがあるので書いておこう。

 気になったのはシミュレーション上の条件がどういうものが用意され、どう設定されたかという点と、シミュレーションの結果でどのくらいの所でしきい値が設けられ有意であると判断されて、番組で紹介された結果が出たのかという点の二つである。

 後者はシミュレーションするプログラムの段階でも議論されていたはずだと思う。インプットでも操作が可能なパラメータなのかどうか・・・その扱いによっては、同じような結果が出ない危険性がある。自然現象なので正規分布だとか非常にきれいな分布に試行結果のバラツキが落ち着きそうだが、インプット条件が人為的だったり、条件のバラツキが分布の部分だったりすると、どのくらい結果がずれるのか自分には想像できない。(想定してる式が分からないし、スパコンで計算するような物が個人で出来るわけがない(笑))

 もちろん、携わっている人間は私より遙かに卓越した能力の持ち主なので、見落としてるとは思わないが、自分が鵜呑みにこの手のテレビ番組を信じられない気質で、その辺も分かりやすく説明されてたらなぁ良かったのになぁと思う(番組内で出来なければバックデータでそれを紹介するとか)。

 特に気象モデル(この場合主に気温とそれによって生じる大気の流動力学モデルなんだろうが)だと、シミュレーションするにしても流体力学のようなちょっとやらしいものを使わなくてはいけなくて、結果が絞りにくいものだから(3次元のカルマン渦とかどういう風に扱うんだろう?カオスだとかフラクタルだとかもハシリの所迄しか勉強してないからなぁ。)かなり変わるんじゃないだろうかと余計な心配をしてしまうわけだ。

 解説してる人いないかしら。

 それ以前に気になったのは、前者の方。前提としてあるCO2供給源の設定・・・インプット条件に石油の採掘と消費期限をどういう風に設定してシミュレートしたんだろうかと言うことだ。石油は採掘可能年数40年と言われて久しい。今までは採掘技術の進歩で40年を延命し続けてきたのだが、最近になって新規に見つかる油田は非常に減っている。(石油の出自に異論があるのは承知している)こうなってくると40年以上は保っても、倍以上などには伸びないのではという気がしてくる。この番組で語っている未来は、地球全体の消費量が理想的に推移しても、倍以上の100年先まで採掘可能で、石油を使っているというモデルなのだろうか?と思ったのだ。

 もしかしたら石油が枯渇しても同じように他のエネルギー供給源の所為でCO2を増やし続ける条件を設定したなら、どういう想定を行ったのかも妥当性など気になるところだ。

 こういう検証は非常に興味深いし、学術的意義だけでないものも感じるのだが、そう言う条件が正しくないと、金を掛けてやっている意味が無くなる。条件を間違うと近傍の結果は確からしくても少し離れると全然違う結果になる危険性をはらんでいると思ったわけだ。行政法人として組織だってるからには、その時点時点でプログラムなり条件成りを入れ替えていくわけだろうが、あれだけのものを使ってやる意味を確実にして出して欲しいなぁと思う。

 日本として気象シミュレータが上手く動けば、現在、寡占的に情報が取引されている気象予報のノウハウを日本が得て、国内の天気予報精度も上がるだろうし、商売上の情報たる農作物や水産などの資源に関しての先読みも可能になるし、消費の需要動向などのマーケット予測も出来るとは思うけどそこまで考えている独立行政法人なのかどうか心配だ。

 自分自身はこれから先どういうような事が起こるかは正直言って分からない。ここのところ大きな紛争や戦争は資源(特に石油)絡みだし、最近、日本が抱える周辺の不安も石油や天然ガスが絡んでいるし、そういうことで燃料の消費形態が変わるかもしれない。使用量の節約はもとより代替エネルギーの研究が必要なのも間違いないが、やはり目先のことに目がいくのが人間だろう。

 代替エネルギーが実現出来れば、また大きく変わる可能性もあるし。

 どこまで本気なんだろうかこの独立行政法人は。

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