「PLUTO」003インプレッション
ああ、上手いなぁ。そつがない。
面白いのはある程度共通認識があると思うので割愛。
「PLUTO」では他の手塚マンガを想起させるサービスを良くやる。(003の夏目房之介の解説参照のこと)手塚治虫のオールスターキャスト方式へのオマージュなのだろうけど。今回の003でも、他の手塚マンガを想起させるものがある。白いライオン=「レオ(パンジャ?)」、「アドルフ」と言うキーワードはあった。今まで、「ブラック・ジャック」と「火の鳥」は練り込んであるし、気づかないようなこともあるのだろう。メジャー作品以外はまだまだ読んでいないのも多い。また、「犬パトカー」「ブラウ1589」のようにアトム内のエピソードからの引用を元に新たな解釈を作り出しているモノもある。これらに始まるシーンの引用、私は余り熱心な手塚ファンでもないので混同していて、分離が不明瞭だなので他にもいっぱいあるかもしれない。
でもそんなサービスだけが上手いわけではない。
では画力か?絵は最近は少し崩れてきた気がするし、まぁあの絵をアタリからペン入れできるのは凄いと思うが、そう言うところでもない。
するとやはり作劇。演出に反応してるんだろう。自分は。
今回、001、002で何度か印象的に出ていた「絵」がリピートされていない。それは意図された行為なのだが、004以降で003のある場面と合わせてみると、凄く納得できるように仕掛けてあると思われる。人の記憶に残しながら必要なときにハッと甦るように仕組んでいく。伏線の醍醐味。どう持ってくるのか期待してしまう。
そして、001、002で積まれた謎が少し、明かされ、そこにまた先の謎を置く。謎を置くののも、先延ばしでなく、ステップを踏ませてくれる軽やかさがある。しかし、そうは言ってもまだミスリード要素もあるのかもと、ドキドキもさせてくれる。非常に良い塩梅だ。
こうして手塚世界を巧妙に使いながら、浦沢的な記述で隙間を埋め、話を進めていく。想像の余地を残しつつレールを外さないように誘導していく。見えないけど非常にテクニカルな流れを感じてしまう。そしてキャラクターをただのコマにしないように、気を付けて。(ただ、今回の「アドルフ」はちょっとご都合主義的か?と思ったがこの先に何かあるかもしれないので最後まで見てからにしよう。)
まぁ個人的には単行本を読みながら、連載各回でキャラのアップで終わるのが多過ぎやしないか?とかゼロニウム弾ってどういう定義よ?とか突っ込むべき処はあるのだが、それ以上に期待の方が大きいのだ。
ゲジヒトを主人公としている為に、もしかしたら結末が少し変わるのではないかとも思っているのだが、果たして・・・。
まだ出ていない原作での重要人物が居る。全てそろった最終回を読み終わったときにどんな気持ちにしてくれるのか。楽しみで仕方ない。
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