「大神」インプレッション(攻略ではありません。)
攻略記事を書くほど率先してゲームが出来るレベルではないし、環境でもない。それに「net@valley(ネタバレ~)」と言っても、そもそもゲームの一番面白い部分であるところを人にばらすのも何だから、そういうのは専門のサイトに任せて、感想を書くスタンスでやっている。
「大神」に対する期待はちょっと過剰だったかもしれない。それがやり終わった後の感想だ。
ゲームであるからかストーリー上に色んな「都合」が見えすぎるのがちょっと気になるのと(こちらはドラマと違って許容範囲なのだが)、やはり引用してきている話の組み合わせとか設定のツッコミの甘さが、なまじ出来が良いだけに目立ってしまって釈然としない物として残るのだ。
大神の引用題材は神話時代から江戸時代(しかも末期)まで多岐にわたっている。コアに据えているのは奈良、平安時代なのだが、そこに別の時代の風俗が紛れ込むのでなんか変な感じがする。もっとも都の設定とかそんなことに目くじらたてていたらどうしようもないじゃないかというのはよく分かるのだが、もっと折り合いが付けられなかったかなぁとも思うのだ。
それなりの学歴を持った人が、物語やゲームに織り込まれてたこと(創作)の事実の切り分けが出来ない人が結構いるのをみるのと気になって仕方がないので、その元になりそうなものを見ると連鎖的に反応してしまうのかも知れないんだが。
個人的にだが倒す相手としての「妖怪」(この際、この言葉が明治以降の言葉だと言うことに目をつぶるとして)についても容貌解釈の面白さはあるのだが、あの妖怪ならこれといったお約束な物の折り込みを、もう少しやって欲しいとか(名前だけもらってきた感じの物が結構多いのが気になるんだよね・・・)いう要望もある。(引用元が伝承だけでないところから来てそうなのもちょっと気になるんだが)
それから、一番気になっているのは、最後のフィールドの住人達の設定。ネタバレが過ぎるので、ここでは明らかにしないし、私が過敏すぎるのかも知れないが、ちょっと不用意な感じがするのだ。
そういう些末なことが引っかかって、終わるまでやったものの霧が晴れない「もやもや」っとした感じが残ってしまった。
しかし、ゲームとしてはバランス良くできていて、初回でも、何かあるときには手当としての準備が事前に引っかかるようにしてあるし、特に無理なことをしなければ、アマテラスを死なせずに終われる。また適当にサブイベント(の方が難易度が高いような(笑))もこなせる。2週目もいろいろ引き継ぎが出来るなど易しい設計になっている。一部、理不尽な感じがするほど、難しいところがあるがハマらなければ気づくこともないだろう。ムービーなどにはちゃんとヒントが出るので面倒でも急がず見ておくことが肝心だ。
体験版で気になっていて2点のうち、セーブポイントはフィールドごと、イベントごとに出来る様に工夫されている。(セーブポイントが不必要なところにも置いてあるのは演出上の妙だ)また、終了の仕方がメニューを出してから探すので、初見ではよく分からないのは変わらないが、これはいきなり終わってしまう方が被害甚大なので、そういう配慮だろう。
また、プレイ中の印象は、スタッフに「鬼武者」の人でもいるのかなと言うような感覚がフィールド設計や音楽が感じられた。両方やってる人だと同じように感じると思う。
それからやはり、この日本画を想起させる「レンダリング」と「美術」は特筆に値する。元々はリアルなレンダリングでは処理が間に合わないことから生まれた、苦肉の策だそうだ。Xbox360やPS3でも処理出来ないような物だったんだろうか?とも思うが、仮に出来たとしてももしそれだったらやってなかったな(笑)と思うような出来映えなので、これで良かった。
ただ、それでも時々ポリゴンの浮きや処理でカクカク成るところがあったのは、ゲームとして出していくときの許容範囲だろうと言うことで目をつむることにする。
それから、上であんな事言っておいてなんだが、物語のラストは結構、ジーンとして良い。この手の話は有りがちなんだが、それまでの準備がちゃんと出来てると素直に感動がある。話は準備が大事。広げ方は大事だが、広げっぱなしではいけない。
次回作が作れるような終わり方とも言えるが、終わらせるにしても、これだけの設定を全て消化するには、尺としてもしんどいだろう。初回で約40時間ほど掛かった。ゲームの構造が分かるとグッと短縮出来るとは思うが、これ以上はしんどいし、価格とも折り合いが付く良いプレイ時間ではないだろうか?
「モヤッと」の所為で「ワンダと巨像」のように「お薦め!」とは言えないのだが、購入する価値のある一作に仕上がっている。気になった方はプレイして確かめて欲しい。
「大神」公式サイト
URL= http://www.o-kami.jp/
「大神」公式ブログ
URL= http://ameblo.jp/o-kami
P.S. 犬ころさんの指摘で、私の誤解があったので、一部削除しました。
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コメント
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2週目をクリア(サブイベントこなしながらやってたら30時間ほど掛かった。それでも熊と塗壁のサブイベントはクリアしていない)して追加された映像特典の中にリアル版のデモムービーがあった。
アレにならなくて良かった(^^;
映像の完成度もあるんだけど、あり得無さ全開になっている。あの方向で初窮してたら私は応援側には回らなかったな。間違いなく。しかし続きがあったとしてプラットフォームはどこに?
投稿: Ja-bow | 2006.05.04 14:00
そか、あの実は桃なんですね。花の印象で勘違いしていました。失敬>スタッフ
桃なら魔よけの意味でも納得出来るところです。
桜というのはOPナレーション(と言っていいのか)の印象からの話でした。
桃が好物なのも、単にオオカミ桃(トマトの種類)に掛けて桃を食ってるとばかり・・・その点は修正させてもらいます。
投稿: Ja-bow | 2006.05.01 21:39
ん、サクヤって桃じゃありませんでしたっけ?
投稿: 犬ころ | 2006.05.01 21:27