「日本沈没」'06インプレッション
ファーストシーン、駿河湾を襲った地震の後、小野寺がさまよう少女、美咲を助けようとするも爆炎に飲まれんとする。そこをハイパーレスキューの玲子がヘリで吊されながら助ける・・・スーパーヒーローならあり得るが、本当のレスキューでそんな危険なアタックをするわけがない・・・でも、そこからグッと来て、ラストまで一気だった。
「日本沈没」'06は原作とも有名な映画やテレビシリーズとも全く違う、新しい「日本沈没」だ。私はこれで良かったと思った。今の時代に社会背景が違う30年以上前に作られた話をそのまま当てはめて作っても、当時のインパクトには勝てないだろう。そこを上手くマッチさせて、今だから成し得る映像をしっかりと残せていると思う。
個人的には劇中のちょっとした"遊び"も微笑ましかったり(分かる人には分かるけどと言う程度、知っていれば嬉しいが知らなければ普通のシーンとして進んでいくそういうちょうど良さも良い)、特撮を観る楽しさも良かったりするが、主人公二人の織りなすドラマももちろん良かった。
柴咲コウは前から創れる女優だと思っていたが、草なぎ剛が結構良かった。いや、SMAPのメンバーに求められているのは、自分たちの普段のキャラにあった役をこなすと言うことだと思っていたので、たまたまなのかも知れないが、彼の映画後半での変心は、じわっとうまく行ったんじゃないかと思う。同じ理由で、不安のあったミッチーとか(笑)チャンと出来るのねぇってな感じで、そういう驚きもあった。
あと美咲役の福田麻由子は、「白夜行」の主人公の子供時代に続いて、今回も難しい役をチャンとこなしていて、感心する。
絵作りはよくこれだけの短期間でここまで作り上げた。「ローレライ」の後これに掛かりっきりだったと思うが、特撮に明るい船頭が3人居て上手くまとめたのだと思う。画面作りは本当に良くできているし、「日本沈没」として重要なのは安っぽくないところだろう。
事あるごとに「日本沈没」に対しての思いを語っていた樋口真嗣が到達した一つの極みだといえる。だから逆に樋口真嗣(の絵作り)が嫌いならこの作品が嫌いになってしまうかもしれない。それほど全編、樋口真嗣っぽい絵作りになっている。
失敗もあるし、決して手放しで彼を褒めたりはしないが、この作品では成功している。
またストーリー上、色々アラはある。冒頭からしてそうだったのだが、九州上空の一件とか、ホント多いんだけど、キちゃったものはしょうがない。そして、同じようにキた人は、最後に誰かの顔を思い浮かべているはずだ。
大事な誰かの顔を。
それを再認識させてくれるだけで、この映画は観る価値があったのだと思った。
P.S. それからもう一つ、観ながらそれ以外にふっと思った一つの"国"がある。ツバル("wikipedia"の「ツバル」にLink)のことだ。あえてここでは書かないがもし気に掛かったら調べて欲しい。
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