「犬神家の一族」2006インプレッション
「犬神家の一族」は良くも悪くも「犬神家の一族」だった。おかげでモヤモヤすることになってしまった。
駄作とは言わない。押さえることは押さえてあるし、それなりには仕上がっている。しかし、前作と同じ脚本、音楽、主役でのチャレンジは失敗したようだ。
取り立てて取り上げることが何もない。と言ったらなんだが、本当にそうだから仕方ない。印象は前回のものとあまり変わらない。前の方がフィルムの所為か暗かった印象があるが、劇場では見ていないので何とも言えない。
前作と同じ役をやる3人については、石坂浩二が容姿だけでなく、走る姿に老けを感じさせ、大滝秀治はあまり変わらないものの、署長(今回名前が橘からと等々力に)も恰幅が良く成りすぎた・・・と言う風に見えてしまう。30年前の石坂浩二は初見の私にもおじさんだったけど、それでも今回のようなキツさを感じたことはなかった。
デジタル技術を駆使して昭和20年代を実現し、風景も作り込んでいるので、ボート以外はあまり気にならなかった。ボートはああいうボートが当時からあったのか気になってしまう。映画の中で明らかに違う一番大きな点のは佐兵衛と珠世の祖母との関係のシーンの有無とラストシーンだろうか?それ以外は若干アングルが違うとか(コレはロケ地事情もあるだろう)役者が違うための段取り違いだとかそのくらいなんじゃないかな?
アングル違いと言ったが、冒頭のシーンなど同じ場所にカメラのセッティングすら合わせてあるシーンが多く。そのことに驚いた。逐一比較しながら見ないと分からないが、記憶がぼけない内に、30年前のものを見直したいところだ。
同じようだが、それぞれの作品から受ける印象は、違っていて、どちらかというと先般フジテレビでやっていた稲垣吾郎版に近い印象を受ける。佐清と珠世の恋の部分が強く出ていると思うのだ。
それから好評を博した前作で、もう、ほとんどいじりどころの無いと思われていたシナリオを下敷きに、今回も撮影されているが、尺や間の関係か犬神家の次女梅子の感情切り替わりが機能いない感じがしたところなど、上手く気持ちが合致していかなかったのもモヤモヤしている理由だろうか。
その他、尾上菊五郎の立ち居振る舞いが歌舞伎っぽく(手形押印を迫られ、足早に退出するシーンの姿勢のブレ無さや廊下で珠世を見つけてハッと立ち止まるところ)って笑いそうになったり、何となく役者がはまった感じがないところや、佐武殺害現場が、余りにもセットっぽかったり、時間があればごまかせそうなところが多く漏れていたのも、残念だった。前作は本当に衝撃的だったので、見直すとそうでもないのかも知れないし、その時の事情とか踏まえると一概には攻められないのだが。
そうそう、引き継いでいて褒めるところもあった、大野雄二のメインテーマは本当に良い。色あせず良かったよ。
P.S. だがしかし、最大の違和感が深田恭子であるのは内緒だ。あの化粧はないだろう。
参考サイト
横溝World
URL= http://www7.ocn.ne.jp/~yokomizo/
犬神家の一族キャスト比較が載っているページ(横溝World)
URL= http://www7.ocn.ne.jp/~yokomizo/haiyaku-inugami.html
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