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2007.01.29

不二家ショックの影で

 不二家の不祥事でショックが広がっているが、その中で、同業他社だけでなく、広範囲にまき散らしたショックが含まれる。

 ISO認証取得の仕組みだ。不二家はISO9001(品質マネジメントシステム)と14001(環境マネジメントシステム)の認証取得企業だった。

 よく誤解があるので、念のため書いておくがISO9001とISO14001は、それぞれチャンと経営として管理できているかという「仕組み(=マネジメントシステム)」に関しての規格で、即、品質や環境影響を保証する物ではない。そして、何年かおきに認証登録を継続できるか審査し提示されていく。

 重大な法例違反があっても直ちに取り消させるような物でもない。(法例違反はそれぞれの当局が管理する物)是正のサイクルが回っていれば継続されることがほとんどだ。すなわち認証を持っていてもその時点で本当に高品質で環境に優しい企業かどうかは保証されていないのだ。あくまで継続的に認証を維持していく活動の中で、良くなっていくだろうと言うことを期待している。だから未だ不二家は登録を維持している。

 日本での審査の頂点は財団法人日本適合性認定協会<http://www.jab.or.jp/>、通称JABであり、その下に各企業を審査する審査機関が登録している。要は審査機関がJABの代わりに審査して報告しているわけだ。するとああいう審査を行った審査機関がどこなのか非常に興味が湧いてきた。登録状況はJABのWebサイトで検索可能なので確認して欲しい。
 JABの意図的な法例違反に関しての見解は下記のようになっている。
 URL= http://www.jab.or.jp/news/2006/qms_20060215_1.html

 不二家の審査登録機関ISO9001はSGSジャパン(スイスに本部がある機関の日本法人)ISO14001は(株)日本環境認証機構(手広くやっているが、一昨年に認定の一時停止を受けた。)だ。今回の失態は下手するとこの審査機関自体の登録が取り消されかねないほどのインパクトがある。

 登録状況の確認を行うと最初に問題になった不二家の埼玉工場はISO9001では一括認証受けているので良く分からないが、登録事業所に載っていない。おそらく認証登録の適用範囲外だ。もし載っていないのにISO9001認証取得を工場などに掲げていると、これは違反、不適合だ。法例のような罰則はないが、かなり悪質だ。また、不二家本体のISO9001登録日は2006年06月09日となっていて、昨年取得したばかりだというのが分かる。(ISO9001は2000年に規格が改定され、それから取得猶予があったが6年はなかったはず。従って上記登録日以前は認証取得していなかったか、すでに登録が取り消された審査機関で取得していたと思われる。)

 またISO14001は2004年10月20日付で認証登録している。ISO14001は2004年に規格が変わっているのだが、規格(国内ではJIS規格発行日)が変わったのは2004年の12月27日のことで規格改訂直前に取得し、有効期限から見て、その後1回は(規格の)更新審査を受けているはずだ。

 しかし、本当にマネジメントシステムが回っていたのかは疑わしい。審査の方もザルだったかも知れないが、不二家側の事務局に相当”巧い”のが居たのではと訝しんでしまう。

 実際、会社のマネジメントシステムがグチャグチャだったのは下記の記事を見ても分かるが、あれほど酷ければ、審査の段階で何かしら分かるはず、審査機関の質の問題は免れないと思われるし、同時に、この審査機関で審査され認証を維持しているところも大半はマジメな会社であると思うが、インチキ臭いと言われても仕方ない。

 不二家、諦めと停滞のなれの果て(NB Online 「時事潮流」の記事)
 URL= http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070125/117624/

 特にISO9001に関しては、ISO9001より先にISO14001を取得する会社が少ない日本国内の会社の動向から推測するに、その前に別な機関から審査登録して貰っていたと思うのだが・・・確認が出来ない。ここ最近に確か審査登録を取り消された外資系審査機関があったはずだがもしやとすら思ってしまう。・・・ただ、今、現在不二家のWebサイトは特別体制で細かいニュースまでアクセスできない。環境会計もやっていたと言うが・・・信憑性が疑われても仕方ないわけだ。

 なお、こんな記事もあった。
 富士通の子会社のISO14001導入コンサルの案内記事
 URL= http://jp.fujitsu.com/group/fip/casestudies/20050920.html

 こんな状況じゃ胸はって宣伝できないだろう。この記事も早晩消えるんじゃないだろうか?

 とにかく、不二家の所為で各段階での認証維持行為が皆、信用を一気に失墜させている。早く決着を見ないと、ISO9001&14001自体が意味が無いという論調に成りかねない。(国際的に信用できないという話になると言うこと)JABにはリーダーシップをそれだけは避けて欲しいものだが。

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