「鉄コン筋クリート」インプレッション
参ったなぁ。しばらく離れていた所為か、最近の劇場用アニメが新鮮な刺激が有りすぎる。(「ゲド戦記」や「ブレイブ・ストーリー」は避けてるんだけどね(笑))
これで昨年公開の劇場用アニメで見に行ったモノは全部、満足行く出来だった。そして、今作だけの所為ではないが、なんか蓄積したモノが襲ってきて、スタバで人心地つけるまでちょっとしんどかった(笑)単に風邪で寒気がしてたのかもしれないが。
実は「鉄コン筋クリート」の原作は読んでいないし、そもそも松本大洋作品をまともに読んだことがない。だからそういう視点ではこれを評することなど出来ない。じゃあ何に反応してたんだろう?
まず第一に声優にやられた。コレは間違いない。二宮和也と蒼井優は想像以上の出来。前述の通りキャラに合っているかなどの評は出来ないが、二宮の二役、蒼井のシロのテンション、これは素人だとは思えない出来だった。二宮和也は「硫黄島からの手紙」と、2作続けて良いものを見せてもらった。もちろんそれに至るプロセスはどうだったかは分からないし、専業声優を使った方が良くなった可能性は否定しない(例えば「パプリカ」は専業声優の林原めぐみでなければ出せない味だ。)が、専業声優の”色”を嫌っての起用ならば選択は間違っていないと思う。
第二は当然だが作画の緻密さだ。文字通り緻密で細々としている描画部分だけでなく、映画としての端々に至るレイアウトの気配りが良い。特に背景はその変化描写を含めて本当によく描けている。更に人物の動きもよく描けていて、枚数を使った効果が十二分に出ている。単に枚数喰っただけの下らない動画とは違う。当然、暴力表現には異論が有ろうが、自分にはあの程度は許容範囲だ。
エンディングの芽吹くリンゴの木は「風の谷のナウシカ」などでも見られる、予感を演出する古典的な手法だが、最初、レイアウトの特質を利用して、そっちに気づきにくくしてあって途中で気づくような配置になってる。(構図だけではなく、明暗を使っているので、そう思っていても何故かリンゴの名札やスバル360に目が行く。もちろん、自分のように天の邪鬼で最初から凝視した人もいるだろう。)ああいうのは巧いなぁと思ってしまうのだ。
ただ、3Dアニメの部分のカメラワークは(特に手ぶれ表現)ちょっとやりすぎの感もある。酔っちゃうかも。
それからストーリーは平板ではないけれど、不可解だったり難解だったりするモノでもない。昨年公開で好評を博しているアニメ「パプリカ」や「時をかける少女」に比べたら、謎は置いてあるものの、構造は随分簡単だ。精神世界の部分以外は、古い任侠物や極道物の定番の筋とさして変わらない。逆にひねって考えたり、何かと置き換えて考えたりしようとすると、妙にねじれて混乱するかも知れない。素直に見た方が良いと思う。思うに台詞回しやカット構図などが原作でも評価されていたんではないだろうか?と思った。もちろん、元々難解な原作であって、この尺の中で理解出来る範囲の話にまとめた所為で構造が簡単になった可能性はあるが私には判らない。
ちなみに去年公開で劇場に足を運んだ4本のアニメで一番好きなのは「Cars」だ。本来の視聴対象の子供を黙らせて、席で食い入るように見せる面白さの作り込みには、「今までこんな映画観たこと無い。」と思った。(大人が観て最高だと思うのとはまた別)本当に舌を巻いた。そう言う全体の雰囲気も楽しみの1つだ。次が「パプリカ」(ただし原作を観ないとここまで評価は上がらないかな)、「時をかける少女」(タイムリープのパラドクスは別にして素直に観て良かったと思った。)、そして「鉄コン筋クリート」かな?邦画の方は順位が付けづらいなぁ。
とにかく「映画を観たぁ!」と堪能できる物が、今年の映画有るのか無いのか・・・ワクワク出来ると良いなぁ。と思いつつ、今年の映画レビューを始める次第だ。
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