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2007.02.22

富野アニメの発明品が要らなくなる日(2)

 思い出した頃に復活する記事(笑)

 前回までの話はここ
 URL= http://ja-bow.txt-nifty.com/netvalley/2007/01/post_60b6.html

 さて、そういうわけで、アニメに顔の知れた俳優やタレントが入り込む余地が格段に増え、巧みではあるが説明的なセリフを廃したアニメドラマを見る可能性が出てきたと思ったと思ったのだが、事はそう簡単でもない。

 というのは現実の実写ドラマの方が、理由は良く分からないが、最近、頓にセリフがクサイのだ。すなわちそのベースに乗っかっている俳優や役者の方が知らない内に寄り添ってきているので、何となくマッチした印象を持ってしまった可能性もある。

 何せ好んで特撮ヒーロー物を観てる私がクサく感じるのだから、その蔓延度、浸透度はかなりの物だ。特撮ヒーロー物がクサイのは幾つか理由があるだろう。そもそもがそう言うクサイながらも印象的なセリフで進める手法で受けてしまったので、連綿と続いているケースや役者の技量が不十分なケースが多いので、それをサポートするために言葉にして表現しているケースもあるだろう。ただ、前にも書いたが普通のドラマではやっぱりそれはクサすぎる。顔もよく見える、アップにもしてもらえるのだから、いたって普通の出来事の起伏を書くのにはクドイと思うのだ。

 思えば滑舌が悪いタレントの補助としてか、やたらとテロップが出る演出がバラエティなどで主流になって久しいが、この過剰サービスと根が同じなんじゃないかとそう言う印象を持っている。

 この通常のドラマでクサイとハッキリ認識したのは、唐沢版「白い巨塔」だ。

 冒頭のタクトを振る指揮者よろしくメスのシミュレーションを行う財前は分かっていてクサくやっている。そんなときにコレを読んで業界人でもやはりそう思うんだと思ったのだ。

 「僕たちの好きな白い巨塔」田宮版プロデューサ小林俊一インタビュー第3回
 URL= http://moura.jp/clickjapan/shiroikyoto/kobayashi/index03.html

 個人的には唐沢さんは好きなので、応援しているが1話冒頭後もあんな感じでどうも何か違うと思いながら観てしまった。こういう事がテレビドラマに蔓延している。何でもない普通のドラマにもケレンを求めるようになっているのかサービス精神の表れなのかは分からないけど、知らない内にデファクトスタンダードに成っちゃってるんじゃない?と言う感じなのだ。

 いや、だからこそアニメに馴染みやすくなってるのではとも思うのだが。

 しかし、それでは「富野アニメの発明品」は無くならない。作画の技術が上がって、要らなくなっても、そのまま続いていくのなら、むしろ「富野喜幸」のアニメに飽きてしまったように、総じてアニメがつまらなく思ってしまうのじゃないだろうかという懸念も出てくると思うのだ。

 そんなことを考えている折、懐かしい知り合いと話していて「ダイターン3」の話になった。

 個人的な富野アニメの最高傑作は、「戦闘メカ ザブングル」だ。その次が「伝説巨神イデオン」か「無敵鋼人ダイターン3」だ。(「ガンダム」はその次ぐらい)「ザブングル」が1位なのはいろんな物のバランスが良いからだ。映画版はひんしゅくネタだったが、作画も他に比べればずっと良かった。「イデオン」や「ダイターン」は絵を見るとガッカリする。いや、「イデオン」は映画がある。絵は「発動編」で補完されてるのでテレビのものを直に観なきゃ良いのだが、「ダイターン」にいたっては、それが出来ない。と言うかむしろ絵が邪魔だったりする。

 しかし、セリフ芝居としては一級品で、変な話、ラジオドラマ状態の方が面白い(笑)状況がちゃんと分かるように書かれてるし、やり取りが小気味良い。「アニメ」なのに本質の一番面白いはずの絵がマズイというのは本末転倒なのだが、それほどにこの富野アニメの手法が、作画の悪いアニメにマッチしていたことを思い知らされる。

 だから、出自は違うのだろうが、過剰な演技が生身のドラマでも発生して、それがアニメにも入り出した結果が今の状況ではないかと思う。

 じゃあこの先どうなっていくのか、どうして欲しいのか、もう少し考えてみたい。

 また忘れた頃に(続く)

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