「どろろ」インプレッション
ようやく観られた。今年はこれを含めて何本か妖怪映画を観ることになっている。その第一弾だったのだが・・・
さて、アリかナシかで言ったら、この映画はアリだと思う。ただ、何に向いて作ったのかはよくわからない。原作のファンや妖怪好事家向けにはヌルいし、PG-12指定なんだから子供向けやファミリー向けでもない、大人の映画にしては、こんな父子の葛藤というのは安いテーマだし、かろうじてデートムービーとしては成り立つかもしれないが、それも趣味が悪そうだ。
原作はあの絵とは裏腹な悲しい世界観や漫画だからこそ想像で増幅させる部分があるし、初めて観たときにしか通用しないネタがあるからこそ、評価を得る部分があったと思う。手塚治虫自身には、もう尋ねられないので仕方ないが、多分「妖怪」を好きではなく知識としておもしろいものだと思って取り込んだはずだ。
以前読んだ、京極夏彦と手塚真の対談から推測されるのは、手塚真という妖怪好きの子供の反応を楽しんで漫画に取り入れた節がある。
自分も"水木さん"ベースというか、最近のよう解釈の方が性に合っているのだけれども、こういった怖いモンスターとしての解釈も一つの表現としてアリだからそんなことは気にしちゃぁいない。
それに、手塚治虫が原作を連載していた頃の時代と現代とでは伝えるテーマが違っても仕方がないだろうとも思うのだ。だけどシーンを取る技術が出来たから「ハイ作ってみました」なんてのは本当に願い下げなんだけれども。一見の印象から言うと最近多い伝奇時代劇ものと印象が変わらない。けど、この画面上の色は好きだし、絵としての構図も悪くはない。
どろろと百鬼丸の互いの葛藤が短い中で右往左往しすぎだとか、そういう演出プランが気になったり(これは監督の所為か、脚本の所為かわからないけれども、パンフレットによるとNAKA雅MURAのものすごい長い尺の本を監督が手を加えて映画になっているようだ。テロップでは脚本には監督との連名になっている。従ってどちらの所為なのかは良く分からない)それに、決して悪くないんだが、もう飽きちゃったという感じなんだろうか。なんだか観ていて変な疑問がわき出すと、だめなんだよなぁ。
たとえば、映画を安く上手く仕上げるにはコツが要るのはよく分かる。でもアクションが入ると、すぐにニュージーランドってでワイヤーアクションっての多すぎない?とか柴咲コウは今回もツンデレですか?とか、思いついたときには新しそうだけど出来ちゃったら在り来たりになってない?とか、本当にくだらないものなんだけど、そういったパターン化しすぎた演出を並べられて「日本のエンターテイメントとが世界を・・・」なんて宣伝されてもなぁと思う。(そういえば今年はこんなうたい文句の映画が他にもあるなぁ(笑))
でもまぁ部分部分を切り取ったら、確かに悪くはないんだよなぁ。
モンスターデザインは普通目・・・そういえば土屋アンナってあんなに演技が下手だった?「さくらん」大丈夫?とかサンショウウオって後で知ったけど、ヘビ獣人の格好いい版じゃないの?オマージュ?とか突っ込みどころは多いんだけど・・・だけど、バラエティがあったし、でも、最初の蜘蛛の化け物退治のところが一番おもしろかったかな。仮面にどんな意味があったのかは分からないし、ワイヤーアクションのいかにも吊ってますってなのが気になるけど。
これでもジャッキー・チェンものをはじめとして深くはないけど色々香港系アクションもの観てるんで、同じものを見続けるという意味での許容量が本当に埋まってきてるんかなぁ。そろそろアクションももっと新しいものを観たいし、最近のワイヤーアクションって、いじりすぎだと思うんだよなぁ。「Matrix」の所為だろうなぁ。・・・まぁ「ゲキレンジャー」くらいのノリだとはいそうですかって許す甘さもあるんだけど。
まぁ金返せってほど酷くはないし、徹夜明けで眠かったけど、一応最後まで見せてくれたし、まあまあって感じだったかなぁ。
かなり辛口に書いてるようにも見られると思うんだけど、これでも甘口モードだ。理由は下でわかると思うけど。
なお、今日見た映画館ではガラガラだった。ここ何週間かは興行成績第一位を取ってたけど、端境期でうまく行ってたのかな?TBSの宣伝番組のおかげかも。
あ、途中でプロレスラーが出てきたのには笑ったな(笑)マッスル坂井とか(笑)がんばれよ。
とお茶を濁して終わう。
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