「どろろ」漫画版インプレッション
コンビニで「どろろ」のペーパーバッグ版が出ていたので購入して読了。
単行本で読んだのすら、相当前なので改めて読んでみると色々分かって新鮮だった。
どろろが女性だったのは最終回にご都合主義的に急に分かったような気がしていたけど、初期からそのもくろみがあった事がよく分かるし、今回の映画も妖怪エピソードそのものは無難にこなしているのがよく分かる。
員数合わせのカラス天狗やサンショウウオは居ないけどね。
でも、明らかに絵面が映画の方が「ハード」なのに、受ける印象は全く逆。人間のエゴと世間の理不尽さに流されながら強く生きているという事が漫画の方がしっかり描けている。現代語や時事ネタを織り込みながらもその辺がちゃんと出来るのはすごいなぁと感心する次第だった。
それに読み取らなければいけない情報量が多い。
普通、最近の漫画単行本だと15分から30分の間くらいで読み終わる。「DEATHNOTE」だけは別だけど、そんなもんだ。
どろろはサンデー版(今回もサンデー版の再収録)で850ページほどだった。ちゃんと読もうと思ったら1日で足りなかった。
あの絵柄だし、水木しげるに触発されて書いたので、怖いだけでないコミカルな面も秘めていて、全然、ハードな印象はないのだが、どろろの心の入れ替わりが丹念に描かれていて心を打つ。
話を引っ張っていくのは百鬼丸なのだが、心の主人公はどろろでこの辺の巧みさには流石、神様といった感じを受ける。
そういえば先日放映されて続編まで作っちゃった、NHK「プロフェッショナル」の浦沢さんの回で、浦沢さんが「火の鳥」を手にとって「死ぬまでに一回読んでみって感じかな」と言ってのが頭をよぎった。
映画はやはり「あざとい」演出が多いし、どんながんばっていても柴咲コウはミスキャストだし、最後にあわよくば続編をと臭わせる必要はなかったし、その辺がダメな感じを醸し出していて、普段だったらボロクソに言っていたところだ。
それが証拠に表向きは興行成績が1位を続けていたが、終盤の数週間は確実に客の入りが悪かった。それも、ガラガラだったはずだ。去年邦画が調子よかったがこの感じだと果たしてどこまで伸びるのかなぁ。
とにかく映画の「どろろ」でガッカリした人は、「死ぬまでに一回原作を読んでみ」って感じかな。
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