「電脳コイル」は怪談?
「幽霊屋敷ノート」と「妖怪モノノケBOX」を読んだ所為か、小説版を読んだ所為か、ますます、そう思うようになった。小説版の「電脳メガネ」はメガマス社の宣伝によると「おばけ」を見るための物なのだそうだ。
それが仕掛けか。そう考えると得心することがあった。
イリーガルだけでなく「デンスケ」や「オヤジ」のようなペットマトンもサッチーやキュウちゃんと言ったサーチマトンもメガネをしない人には決して見えない物なのだ。この場合、「電脳メガネ」の有無は怪談話につきものの霊感の有る無しに置き換えられる。
そして、当てはめるならハラケンやイサコの探している物は幽霊なんだろう。もしかしたらそのものかも知れないが。
「電脳」で置き換えることで、切り口が変わり、現代の自分たちに、ほんの少しリアリティを与えてくれる。よく考えればあんなグラス型のウェアラブルコンピュータやGPS、現実空間と連動した広大な電脳空間を構成した都市などはSFなのだが、少なくとも幽霊やお化けよりはリアルだろう。そこが「仕掛けなんだ」と思ったのだ。
イサコのお兄ちゃんは分からないが、ハラケンにとってのカンナはもう死んでいる。彼が探しているのは、電脳上の記憶や姿なのだろうけど、それらは以前なら幽霊に置き換えられてしまうようなもので、そう考えると、この話の中では「はざま交差点」や「ミチコ」の都市伝説(「怪談」をイコールで「都市伝説」としているところには疑問の余地はあるが)を語る様は「電脳怪談」をメタ構造で語っていることになるのだろう。
ハラケンやイサコの探しているものが、もし実態だとしたら、それはまさに「神隠し」の構図を担っているようにも思うし、この先が非常に楽しみになってきた。
ただ、小説版は3巻が10月に出るそうだが、次のやつはテレビが完結するまで絶対読めない(笑)何せ2巻で話は現在より前の状態なのだが、先が読める情報がちりばめてあり、(必ずしもそれが番組内事実になるかどうかは分からないが)危なくってしょうがないからだ。
小説と映像では同じことを語るにしても、方法が異なるのは仕方がないことだし、語ることが同じでも磯監督と宮村優子では伝えたいことが異なることもあるだろう。
ただ、共通の設定を使ってしゃべっているので、そういうことだったのかというのがわかり過ぎちゃったり逆に些末な違いが誤解を生んだりとしやすいからだ。
しかし、今年は読む本読む本お化けの話といった感じ。「ペギースー」までお化けの話だったのには笑ったけどね。
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