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2007.07.05

「『世界征服』は可能か?」インプレッション

 岡田斗司夫の「『世界征服』は可能か?」を読んで、いたく感心した。

 内容の正しさとか詳細さとかそういうことでなく問題提起として十分に面白いと思ったからだ。

 同人としてマンガを描いていたときには、巨大ロボットものを主に描いていたのだけれども、主人公側の「巨大ロボットの成立条件」にばかり気をとられて、悪の方がなおざりな設定というか、基本過去の作品からの引用的なもの、倣いものばかりだった。

 今のところ最後に描いたマンガで、どうしてもそれでは話が進められなくなってあれこれ悩んだ末にたどり付いたのは「狂信的自滅集団」だった。

 しかし、制作テーマが「子供番組にも出来るような『巨大ロボットもの』を描く」で有ったので、これはマズイと言うことで・・・結局作劇上、表面に出さずに描き始めて、やっぱり無理かもと、途中でやめてしまった。

 このときの狂信的自滅集団は、要は狂信的環境団体のような思想をさらに推し進めて、「自分たち人間こそ地球に不要、だから意に従わぬものから始末して、最終的に自らが確認をした後にこの世から消える」というのを目的にした集団の予定だった。

 これだと、意思統一にギミックは要るが、あまり問題がないだろうと思ったのだ。だが死ぬときに環境に被害を及ぼしてはいけないし、消えていなくなった後の確認が出来ないことに矛盾を感じるものが出てきたりしなくもないわけで盤石にはどうしても出来ないだろう。

 そのほかにも困ったことはあったのだが、それはまぁまだネタとして暖めておきたいので開示はしない。

 とにかく、こういう集団なら狭い社会なら可能なのだが、世界となると・・・結局どこかで折り合いをつけなくてはいけないだろうし、実際の狂信的で恐ろしいテロ集団であっても、意志が世界征服レベルまで完全に統一されたことは多分未だ無い。

 翻って、子供番組も子供番組であるスーパー戦隊やライダーを見ても「世界征服」を掲げた敵は近年ほとんど居ない。

 今年のスーパー戦隊は超越能力の集団ではあるけど、現段階では二つの拳法の流派が争ってるだけだ。臨獣拳側が死人だったり、たまたま巨大化して街を破壊したりするけど、基本は強いか弱いかを競っているだけで、もしかしたら正義の獣拳ビーストアーツ側にも「正義」という意識が希薄だ。

 ライダーは現時点では敵の目的が分からない。どうも時間を変更しようとしているがその動機が示されていない。ただ単に時の運行をまともに保とうとしているのがライダーであって、そのついでに人助けをちょこちょこ入れていると言った感じだ。去年こそ記念作で侵略がテーマだったが、クウガ以降を見ても、いわゆる旧態の「世界征服」に当てはまりそうなものは半分もない。

 難儀なのだ。「世界征服」は。以前は目的が手段化して「世界征服のために世界征服」しても、気にされなかったが、時代が進んでそれでは、リアリティが無くなってしまったのだろう。

 だからこそ、岡田斗司夫を納得させられる「世界征服」プランを持ったドラマを作ることが出来たら、面白いんじゃないかと思う。そういうところにトライしてみるのも面白そうだ。

 しかし、こいつはかなり辛い(笑)

 私は先に降りてしまおう。

 そういえば「ガメラ4」で有名な林家しん平の創作落語で「仮面ライダー」の後日談がある。その中では壊滅寸前になけなしの資金で「ラーメン屋」を開業したショッカーにまた正義と悪の戦いをしようと本郷が持ちかけるが無碍に断られるというくだりがある。正義も悪も貫こうとすると大変だなぁ。

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