「怪談」インプレッション
いやはや本当に緊張感のない鑑賞になってしまった。
仮面ライダーのお子様どころではない。隣で氷をしゃくしゃく砕いていたおじさんやケータイのバイブレータを何度もならしていた女の子や、時間確認のためか何人もケータイを開くやつに怒る気にもなれない。
思いっきり同情する。
それほどつまらなかったのだ。
何だろうねぇ妙な時代考証(時代劇としてだったら許容範囲なのかな?)、ベタな脅かし(「志村ぁ~っ!後ろ後ろぉ~っ」ってかけ声でもあったら、まだ良い"お笑い"になるのに)、プロット進めるのための強引な話というマッチポンプ、スタジオ撮影が主で、最初の宣伝文句にあった「日本の美」がどこにあるのかと思いながら、眺めていたら、いつの間にやらやってきたラストシーンで、我慢が解けて、つい鼻を鳴らして吹いてしまった(笑)また、そこに本来あるべきのイメージとはかけ離れた浜崎あゆみの曲がかかるという始末だ。
普通これだけの役者がそろって、脚本も日本アカデミー賞受賞者で、監督もヒットメーカーならどんなに失敗でもここまでひどくはならないだろうと思うのだが、そうではなかったのだ。
映画を見ていると「黒木瞳に抱かれた首だけ新吉は何のメタファーなのさ?顔さえあれば良かったって事?(笑)」とか「木村多江演ずる妹は家族をボロボロにした元凶で嫌っていたはずなのにそんなに新吉に入れ込むのさ?」とか質問してもし足りない。過去にも「真景塁ヶ淵」は映像化されているが今回が最低じゃないだろうかと思わせてしまうようなところが本当に残念。この話の中身は欲張りすぎて強引な進行になったのが敗因だと思う。
せっかくオープニングに使った現代の怪談といえば第一人者の一龍斉貞水も、途中で説明ナレーションを入れさせちゃぁ意味がない。そこは映像で見せるのが筋ってもんだ。
それに映像でも、普通のホラーのように脅かしたい所為か顔アップが多すぎるし、都合の良い展開が多すぎるし、情感がちゃんと描けてないもんだから、女の怨念の恐ろしさよりも"新吉がただ女にだらしないだけの話"になってしまった。心情を吐露して、天に叫ぶ新吉に「うつけ者が何言ってるの(笑)」と鼻で笑うしかないシーンに仕上がっている。
最後の殺陣もあれは何?素人が鎌振り回してるだけなのに何でそんなに死ぬか。
そもそも宣伝文句の単語「日本の美」で不安があっただ。じゃあ何で見たのかと言われれば、「リング」はまあまあ面白い部類に入る映画だったんじゃないかと思ったし・・・テレビでしか見たことがないが・・・だからホラージャパネスクとしてそれなりに普通になるんじゃないかという期待感があった。それから脚本が「時をかける少女」(2006)の奥寺佐渡子だったのだ。ちょっと実写でどれほどの物か見てみたくなるじゃないか。監督の力量でこんなにも違うのかと思い知らされたのは良い勉強になったが。
とにかく現時点で今年鑑賞した実写では最悪。「どろろ」を軽くしのぐ出来の悪さだ。まともな時代物をとれる監督は居ないのか?
失敗した。盆の貴重な時間をこんな物に使うとは。
「牡丹灯籠」の方の制作はどうなったんだろう?
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