「墓場鬼太郎」#1「鬼太郎誕生」
ノイタミナ枠はつまみ食いでしか見てないので、比較は出来ないんだけど、今までもこんな感じなのかな?おしゃれなイメージだけども、「墓場鬼太郎」を今作るならこの感じで良いかなと思ってみてた。
話は貸本版「墓場鬼太郎」の原点「妖奇伝」版の「妖怪一家」~「墓場鬼太郎」第一話「地獄の片道切符」の内容で角川から今手に入れられる文庫本第一巻の半分以上のページ内容だった。
本編は端折ってる部分や新たに足した部分があって、原作の流れが好きだった部分が崩れたのは残念だけど、よくやってるなぁと言う感じ好感が持てた。京極夏彦が言っていた3Dの意味はなるほどと。ああいう演出(撮影か特殊効果パートでやってるんだろうけど)は合ってるんじゃないかな?
それにしても野沢さんは上手い(笑)オヤジも少し違う演技なんだけどこちらは「ゲゲゲ」とそう変わった印象が無いよね。強いて言えば鬼太郎に呼びかけるときに「息子」斗呼んでることぐらいしか変わった印象はないはず。でもコレは演技の範囲じゃないから。
省かれたのは尺の関係上仕方が無くってゆったりとした導入部分を倒置してショッキングな感じにしたりして上手くやってる。
目立った挿入部分はまず"最初から目が潰れて"生まれた鬼太郎が後天的に目が潰れた描写を入れたこと。(これは貸本版で、何度かあらすじ説明をする際に墓石で傷ついて目がつぶれた描写があり、同時に墓場に当たるシーンを入れられなかったことを色彩設計の辻田邦夫が明かしている(※1)訂正してお詫び)まぁ目が両方とも開いた状態で生まれるのは公式サイトで分かってたんだけど、水木に良心の呵責を与えて鬼太郎を預かる流れを演出したかったんだろうなぁと思ってみてた。
それから原作では幽霊の血液を輸血したことで幽霊化してしまった病人が不思議な力で幽霊化していたことに絡んで不思議な力の源が無くなったら消えてしまったこと。
コレは原作ではその後の幽霊化病人には触れていないので、そのフォローと鬼太郎の母親が売血で食いつないでいた件を今の放送コードに触れるのか、理解できない層向けなのか、演出上のつじつま合わせなのか。でもコレも上手く処理したと言えるだろう。
何せ貸本版は本当にその場しのぎな感じがあって、時系列で並べられない。水木しげるはかなりチャンと構想を持って話を書いているように思えるのだけど、貸本の発行ペースや初期にあった大問題の関連で整合性を失っていて、キャラも代わるし(笑)その辺、連続アニメだとばれちゃうのを避けたかったのだろう。
あと個人的にはオープニングとエンディングが浮いてる感じがするのがちょっと残念。これは慣れかなぁ?
マイノリティとしての幽霊、妖怪と言う概念はこの話からもう存在していて、所謂、妖怪的妖怪じゃない扱いを持ち出しているのはさすがだと思う。「ハカバキタロー」は残念ながら読んでも見てもいないので、その頃からの考え方なのかは分からないけど。これにさらに様々な要素を加えて水木しげるの妖怪感が生まれてくるところが面白いなぁ。
たとえ水木しげるが創作した物でも「水木しげるが妖怪と言ったら妖怪」と言う意味は「妖怪」が分からないと分からないよね。もうその域に達してるんだよといっても、分からない人は納得しないだろうしなぁ。
※1 WEBアニメスタイル連載記事「色彩設計おぼえがき」第38回
URL= http://www.style.fm/as/05_column/tsujita38.shtml
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