「帝都物語」インプレッション改訂版
何で改訂版かというと、ずいぶん昔に「Film Eater」と言うミニコミ同人誌に感想を書いて、今回、「Gyao」(2008/03/01まで)で見直すまで、全編通して見直したことがなかったんだけど見直したら「見直した」からだ。
端的に言うと面白い映画だった。
さすがに色々時代の変化を感じ取らざるえないのだが、当時から良くないと思っていたところは良くなかったし、良い意味での実相寺監督が終わり始めている予感も多分に含まれている。それでも色んな思わせぶりやなんと言ってもキャストのはまり具合がよいので、完成されてるなぁと思うのだ。
当時から良くないと思っていたのはいくつかあるが今回も確認できる前提で言うと、首塚のセットのいかにも舞台装置然とした動き、最初に加藤が襲撃したときのカラスの式神のつり下げて右左に動かしただけの躁演、当時は画期的だったハイビジョン合成の画面の荒れ、町並みミニチュアのサイズが良くないために起こるスケール感の無さなど主に特撮シーンに偏っている。
他にはまぁ石田純一の演技が下手だなぁとか(笑)なんだけど。
ただ、一部公開当時の印象と違うというか明らかに差し替えてない?と言うところもあった。震災で浅草の高層建築(名前忘れた)崩れる直前にあたかも爆発したように塔頂が吹っ飛ぶカットがあったのだが、それが無くなっている。同じくその続きで画面が揺れるエフェクトが全く入っていなかったので全然臨場感がなかったのを記憶しているのだが、(鑑賞後の感想の言い合いでもその点は確認しているのだが)今回見たバージョンはそんなことはなかった。
公開当時に違うバージョンが存在していたのだろうか?そんなことが有れば実相寺マニアが確実に押さえていると思うのだが。
特撮のシーンは今なら(お金の問題は有るが)CG化してしまえばすべて取り除ける。素材が残っていて監督が存命ならそうやって作り直してRemix版として出しても良いくらいだ。舞台演出っぽい画面構成をやっているのはこの頃から顕著になっているけれど、冒頭の地脈を動かしてみせるシーン以外は、作品に合っていてむしろ効果的だ。
それにしても嶋田久作の加藤っぷりは本当に良い。姿も声も演技も非常にはまっていて、他の人が加藤をやるたびに色々言われてしまうのは、仕方ないなぁと思ってしまう。適度なエロチズムもグロも監督という以前に作品に合っていて、面白い。
すでにこの世にいない人も多数だし、ベテラン中のベテランが本当に若くって笑いたくなるほどなんだが、それぞれが良い味を出していた。
特に女性陣はヒロインをはじめ皆良い感じで。
エンディングの余韻の作り方も本当にうまく行っている。エンドロールの最中もずっと映像が入ってて、当時いくらの金を掛けたんだろう?今作るとなると本当に大変な作品のような気がするなぁ。
で、肝心の感想はっていうと、湧き上がるような凄い感動はないんだけど、最後まで飽きないし、(結局人が動かしてる)学天則を使ういきさつおかしくないか?とかも思うんだけど、「面白い」んだよなぁ。今の方が彼方の知識がしっかりしているので、その辺が意外に良くできているのにも驚いたし。
そうそう、カメオっぽい出演者が意外に嫌みでないのも特筆もの。
なんか再評価しちゃった感じの映画だった。
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