「ガチ☆ボーイ」インプレッション
「学生プロレス」を題材にした非常に感動的な映画で、それなりの満足感のある映画だ。
しかし、何が言いたい映画なのかはよく分からなかった。
「ガチ☆ボーイ」公式サイト
URL= http://www.go-go-igarashi.jp/
主人公、五十嵐は高次脳機能障害を煩い、ある時点から新しいことがほとんど記憶できなくなった悲しい運命の男だ。毎朝、大量のメモを見ながら記録を記憶に入れ替えるがひとたび寝ればそれがリセットされてしまう。
そんな五十嵐はそうなる直前に見た学生プロレスに興味を示し、学生プロレスの世界に入っていく。でも、段取りが必要なプロレスにおいて、彼の障害は致命的だ。それ故にガチンコ(とは言ってもプロレスでしかないのだが)に成ってしまい、その状況が逆に興行を見る者を沸かせる結果となり、彼は人気者になって行く。
確かに彼の背負った運命は過酷で、彼が生き甲斐を求めて必死なのもよく分かるし、だから乗り越えてプロレスをやり続けようとする葛藤もよく描けている。確かにそこにドラマはあるのだ。
でも逆にそれだけなのだ。正直言って救いはない。切り取った一瞬だけの満足しか無い。決して直らない病気である彼にとって話の中で常に臭っている将来への不安は晴れない。と言うより、まさに大学を出た直後におそってくるプロレスが無くなった日常を思うと、最後の熱い感動的なシーンでさえ、寒々と思えてしまう。
これは昔から連綿と続く当事者世代でないと痛い「青春映画」であって、どうしても素直に喜べない自分が残されてしまった。
だからそういう意味では若年層向。おじさんになってから見ると余計な心配がまとわりついて、素直に楽しめない映画でもある。そういうことが気になるのは主人公との同化感が無いからだろう。じゃなければ面白かったのかも知れない。
主人公の特性を生かした重ねて見せることで顕在化する伏線の引き方は、古くさいし、オーソドックスだが分かり易いという方を優先した作りで好感が持てる。が、もう少しひねって欲しかった。
それから生身で挑んだプロレスシーンはかなり良い。特にラストの試合は5日にも及んだとの事で、そのこともあって疲労感がリアリティを産んでいる。プロレスラー(フジタJrハヤト)を一人、配役に入れたのは、体力的な部分とプロレス頭の補完をするためとサポートでもあったのだろう。逆に言うとその一人以外は素人だ。それなりに見えるのはかなり頑張ったことの証だと思う。フジタをわざわざ寡黙という設定にしたのはしゃべりが映画に合わないのも隠すという理由からだろうか?
最初の頃のリングのロープが普通の安物ロープで、最後のリングはチャンとしたワイヤーロープになってるのも、どうでも良いけど、意味があって「凝ってるなぁ」と思ってみていた。
適当に笑いがあり、適当に寒く(笑)、お手軽な熱さを手に入れたい人には受けるんじゃないかと思う。
大学生あたりまでの人にはお勧めできるかな。
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