「隠し砦の三悪人-THE LAST PRINCESS-」インプレッション
最初サブタイトルがついたときパロディ映画みたいだなと思った。
まぁこのタイトルだけでなく、諸々の情報から駄目臭が立ちこめているし、それを承知で観に行った所為か、それほど心のダメージは受けなかったんだけど、まぁ薦められるかと言ったらそんなことは全然無い。
褒めるところを書けと言われたら阿部寛を観ておけと言おう。それだけしかない。
主人公を山の民、武蔵に改変するのはかまわない。もしチャンと山の民目線で書き換えられていたら驚いたことだろう。だが、主人公が松本潤になっている点からもそんなことが起こるわけがない。戦国の世なので士農工商のハッキリした階級制度はなかったのだろう。公家などの貴族以外は混沌としていたに違いない。だが、「山の民」となると扱いが違う。この頃の「山の民」って単に山岳地帯に住んでいた人の事ではない。そんな「山の民」と裕福な土地に住まっていた姫君が恋の逃避行じみた流れになるなんてあり得なさすぎる。
現代ならいざ知らず、それぞれに思想も大きく隔たっていたはずなのだから、よしんば成ったとしてももっと強い葛藤があるはずだ。
どうも、このストーリーのプロットは「隠し砦の三悪人」ではなくてそれを元に作った「スターウォーズ」の方の影響が強く出ていると思う。しかもC3-POがハン・ソロの役目もしちゃうという(笑)本当にお笑いぐさだ。(その所為か椎名桔平はダース・ベーダーの和甲冑版になっている。)
脚本は中島かずき。劇団☆新感線の脚本家、アニメーションなどでも「天元突破グレンラガン」でメインライターを務めているのだが、今作はどうだろう?この映画愛無き突っ込み、ダメ出しを山のように入れたくなる。
ここまで破天荒な時代劇は舞台劇なら許されるかも知れないが、映画、少なくとも「隠し砦の三悪人」では、ダメだろう。
ただ、これは脚本だけがダメなのではない。もちろんそれを認めた監督やプロデューサーにも問題が大ありだ。
今回主役の松本潤は彼として悪いわけではない。現代劇で彼のイメージを背負える役であればそんなに悪くないと思う。でも、今回の武蔵の役はどうだろう?冒頭から逃げ出すまでの最初のあたりでももうキツい感じが漂っている。新八の宮川大輔も上っ面だけ演じてる感じがものすごくする。
引火性ガス(『瘴気』と言っていたが言葉の使い方が妥当でないように思う)で爆発する城を脱出する際のマンガみたいな表現もどうも「はぁ?」だし、そこここに色々、「ありゃりゃ」「うわぁ~っ」と言ったシーンが多くてどうもなぁといった感じが全編ちりばめられていて困る。
画面の仕上がりは良いが、特撮良さも出ていないし、短期間で仕上げてここまでイベントネタ作ったのは凄い腕なんだろうが、映画やドラマは見た結果なんでどうしようもない。
樋口監督ってのは映画の監督で無くって、テレビドラマの社員監督みたいだよね。絵面にこだわってくれる姿勢も、アニメーション的なアクションシーンもオレぁすきなんだけど、後世に残る映画監督かと言われたら、そんなことはないんだなと、今回ハッキリ思った。
20代や30代の監督がこの映画を撮っていたら、まだ良いんだが・・・。
デートムービーとして、あるいはジャニーズファンの人が見に行くのは止めないが、どれだけの興行収入になるのやら。
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