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2008.08.31

「20世紀少年 第一章」インプレッション(改)

 まず最初に原作未見であることを断っておく。だから原作の再現度がどうとかは、見た目の役者の顔ぐらいしか分からない。物語の演出とかそういったものも二次的な知識しかない。

 まして結末は知らないのでトンチンカンな事言ってる可能性もあるから予防線だ。

(とっちらかしていたので整理し直した)

 見終わって思ったのは、少なくとも「偽太陽の塔」に立っていた「ともだち」は佐々木蔵之介のフクベエなんだろうなと言うこと。ミスリードに引っかかってるかも知れないが、常道手段の展開だ。思わせぶりな小日向文世は全く関係ないって事はなさそうだから、その仲間かも知れないし、第三勢力みたいなものかも知れない。

 何でそう思ったかというと、「服部君」だからだ。動機はさっぱり分からないが、記号だけならそう思える。

 本名が服部の彼が「ハットリくん」のお面を被っていて、ハットリくんと、もつれて画面上からリタイアした時点でそのフラグが立ったといえる。実質的には「よげんの書」を作ったのは「フクベエ」だと言える描写(ケンジは言ったことを書いていただけの様に見える)があり、ケンジと対峙した「ともだち」の発言の意味やこの未曾有のテロの動機は本当にさっぱり分からないんだが、最後のバックショットは今回の登場人物の中では佐々木蔵之介の姿に見える。

 全く登場していない人を「おまえは!」とかケンジに言わせておいて、あの場に据えるのは反則だと思うので、こういう風に思っているんだけど、まぁそれが当たっているとしても、正体が問題ではなくて、動機が次回以降の焦点なんだろうなとかってに思っている次第。

 とりあえず、この後、気になるのは

 ・カンナをなぜ狙うのか(チラッと見せる透視能力のようなものと関係?)
 ・フクベエ(が「ともだち」だとして)の動機

こういうところは興味津々だ。

 だから、一見さんとしての感想なら単純に観ると言うだけだったら、十分に楽しめるし、2章も見てみたいと思う人は多いだろう。

 だが、個人的には単純割りで制作費が一本あたり20億円以上の大作でありながら、画面が安いのにはガッカリした。特に気になったのは羽田爆破、巨大ロボットから噴霧される細菌を浴びた警官たちのリアクション(まんま戦隊とかライダーのケレンあるアクション)タイの格闘シーン(まんまワイヤーなど使ったアジアンカンフー物)出来るようになったのは良いことかも知れないけど、新しさは微塵もない。

 こういう話の時にはリアリティを作り込んだ方が良いと思うんだけど、そういう流れにはならなかったらしい。

 原作のイメージを損ねずに作るために似た雰囲気の役者(似てるだけでなくチャンと演技が出来るのは立派)をそろえて、おそらくエピソードや演出もなぞっているだろうと思われるところもよく分かるんだけど、漫画的な表現と実写映像表現の差がどうしてもにじみ出てしまう。

 だから「漫画ではこうだったんだろうな」と理解はするものの、実写で観ると違和感バリバリだ。端折っているのでその辺が際だっているのかも知れない。

 話の中でも、違和感は大いにある。仲間側がことごとく覚えていない「記憶」の件は確かに40代にもなれば、小学校の頃の事なんて、地元でじっとでもしていなければ、なかなか覚えていない。顔は思い出せるけど名前が思い出せないとか、その逆はよくある話だ。けど、親も健在だし、ほとんどの人が近辺住まいなのに、誰も思い出せないってのは、やっぱりおかしい。

 それから「よげんの書」を観た人間は、彼らが思い出そうとする狭い範疇だけでなく、少なくとも同窓会で言葉で言及してきた人間も含むわけで、意外に広い。普通にあのペースの中でなら分かるはずなのに、当事者たちが、誰も気がつかないってのは本当に変だ。(まぁこの辺は一応伏線なんだろうけどあからさますぎて・・・)

 思うに、漫画は長かったので色々使ってミスリードしたり週刊だったから誤魔化してた分もあるんだろうが、映画でまとめてしまうとその辺が際だってくるのでは?

 そして長かった恩恵でまた、過去のシーンでノスタルジックな疑似体験をさせることも多かったのではないかと思う(一つのねらいでもあると思うが)。今作もそれに倣っているようだが、この辺はそういう記号であれば良いのだが、映画でセレクションした物は時代的に少し錯誤があるように思うので、個人的には引っ掛かりがある。

 原作もそうなのかも知れないが、成田に行くのも普通に変だ。今、現在が「空港と言えば成田」な世界ならそうだけど、そうじゃないもんね。暴漢が襲ってきたり、火がついたのに通報すらしないし、そういった演出上の都合がもろに出てきてしまって、台無しだ。

 最大の違和感は「いらっしゃいませ。キングマートへようこそ。」だろうけど。口癖が残ることはあるだろうけど、それなら他の言葉にも出るはずだ。この辺、字なら分からないかも知れないけど、音で聞いてしまうとやっぱり変。

 原作と今映画の欠点の差が分かっていないので見た違和感を並べてるが、どっちに責任があっても覆せなかった監督の技量ってこの辺止まりだったのかと、ガッカリした。

 ただ、エンドロール後の次回予告は良くできていて、2章までは客が引っ張れるんじゃないだろうか?とも思ったんだけど。

 最初から3章仕立てであることを謳い、3部作前売りチケットまで出してるわけだから、3章まで作る(2章は同時撮影だったらしい)んだろうけど、3章まで持つかどうかは正直不安な出来だった。

 とは言え映画版「デスノート」のように正直、何がウケるか分からない。記録作ったりする場合もあるわけで、先は全然読めないんだけど。少なくともこの第1章はヒットというレベルでは行けるんじゃないかと客入りだけ観てたらそう思った。

 少なくとも暇つぶしには十分過ぎる上映時間で、観劇代の元は取れるかな?。

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