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2008.08.10

「ダークナイト」インプレッション

 面白かったと言うよりも"凄い"物を観たという感じがした。"凄い"というのは最近間違って使われる「程度が極まって著しい」という意味ではなく本来の「凄む」等で使われている方の意味だ。

 そして如何に今までのダークヒーロー物がぬるかったかもよく分かった。

 自分の中でもなんだかまとまりがつかないんだけど、とりあえず感想。

 今のところこれ以上の形で、「ダークヒーロー」を表現するのは難しいように思う。本当はもっと前からあるのかも知れないが、「スターウォーズ」以降、ヒーローがダークサイドとの葛藤を行う物が増え、ダークサイド側の者が逆にヒーローになる事もあった。

 ご多分に漏れず日本的なヒーロー像とも違うためか、単純に10代の頃にアンチヒーローにあこがれやすいのか、アメリカでも日本でも画面が暗くて、いつも悩んでて、他人と馴染めなければ孤高のダークヒーローっぽいと逆にステレオタイプの罠に傾倒し、はまってしまったものを沢山見せられたような気がしていた。

 観るたびに、もう沢山だと思っていたのだ。

 「ダークナイト」はそういったステレオタイプの頂点にあるかも知れない。しかし、他の追従を許さぬ、噂に違わぬ出来だった。

 「バットマン」と言えばさっき言った様な物が好きな人が多いので、ティム・バートン版の人気もあった。自分も好きだったが、アレを観た後覚えているのはジャック・ニコルソンのジョーカーとブレードランナーのようなカオスな世界観だけで、バットマン側のドラマは余りよく覚えていないと思う。

 そういう意味で「バットマンビギンズ」は良くできていたと思った。ダークヒーロー物に光明が見えたと思っていた。

 しかしそれは「ダークナイト」観る前までの感想だ。

 押さえるべき要素はすべて押さえ、全部入りのてんこ盛りでも、観る者を離さない魅力が「ダークナイト」にはある。

 ジョーカー役ヒース・レジャー、惜しい人を失った。

 ジャックニコルソンがやったジョーカーを超えるなんてそうそう出来ない事だと思っていた。この作品で全く違うジョーカーを演じきった。ものすごいプレッシャーがあったのではないかと画面から"凄み"が伝わってくる。

 話の構成は所謂サイコホラー物をバットマンに組み合わせた物なのだが、高いレベルで融合しているので、「やっちゃった感」などは微塵もない。

 そしてバットマンの決意。孤高ここに極まれりと思う。

 「暗黒の騎士<ダークナイト>」は何故そういうタイトルなのかは観て感じた方が良い。

 それから映像もすばらしい。観た後「ブルーレイ」と50vクラス「大画面テレビ」が身の丈も考えず欲しく成ってしまう。

 そんなことが出来ない人は今劇場で見ておくべきだ。

 万人受けではないと思う。それに「面白さ」で言うと欠けるところがあるかも知れない。だが、現時点でコレを超えるダークヒーロー物は知らないし、これを観て今の時点でダークヒーロー物を書こうと思うやつはよっぽどの「身の程知らず」か本当に「才能にあふれる人」のどちらかだけだろう。

 とにかく凄い映画だった。

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