「インクレディブル ハルク」インプレッション
直近の映画版までの、成りたくないけど成っちゃったの要素が薄まって、カタルシスのあるヒーロー物になったんだが、少し物足りなさも感じた。
今回のハルクを観ると色んな配慮を感じる。冒頭の逃亡先がBRICsの一つブラジルの貧困層の中なのも色々考えちゃって面白い。
個人的に面白いネタと思ったのは、
ハルクは心拍数200を超えるほどアドレナリンが上がると変身してしまうんだけど、怒りを抑えるために、あのヒクソン・グレーシー(彼が観ただけでそれと分からなければ意味のないシーンなので、アメリカでもネームバリューがあるんだろう)に柔術の教えを請いつつ、呼吸法を学ぶシーンがある。
ヒクソンの波打つ腹筋を観るだけで面白い。(カール・ゴッチにも似たような噂があるよな)
また、日本人はすぐには分からないが、テレビ版や映画の旧作ハルクへのオマージュシーンやゲストが入っていてアメコミファンは嬉しいところだろう。
特に最後のシーン、日本では来月公開の「アイアンマン」とのリンケージが取ってあるシーンは蛇足ながらも楽しいおまけだ。
今までのハルクと違う部分はなんと言っても、本編最後のシーンでどうやら自在にハルクに変身できるようになっているところだ。つまり成りたいと思って成ることが出来るようになることでよりヒーロー性が高まる話が今後は書ける。(それでも迂闊な変身に対する配慮は残してある)そんな風に今回のハルクは興行成績次第だが同じキャストで続編が作りやすいように色んな配慮がしてある。ちなみに本国でのオープニング3日間興行収入は58億円で、立派なものだ。
来年公開の「X-MEN」(ウルヴァリンのスピンオフ物)などとも、もしかしたら分かりにくかっただけで関連性が書かれていたのかも知れない。
ヒロインのリブ・タイラーは相変わらず可愛いが、さすがに産後の白人特有の体型になりつつあるみたいで、デビュー時ほどの可憐さという感じでは無かった。なんかバストショットが多いんだよな。
ストーリーは3回同じカードを繰り返してそれぞれ趣向を変えるというあまり捻りのない展開で、しかし、役者陣のおかげかそのあたりの感情の変化などが上手く書かれていて普通に良い映画だったと思う。
敵がその都度強くなっていく課程も分かり易いし・・・
ただ、最後がちょっとあっけない。そこが残念だ。
それから字幕で気になった事があって、腑に落ちなかった。最初にハルクの名前が冠せらっれる時、学生が「そうまるでハルクだよ」みたいな言い方をして居るんだけど、字幕は「まるで廃船だ」になっていた。その後もそうだ。
自分が持っていた辞書には「HULK」は「(不格好な)大男」の意味が書かれていて、その後調べたがやはりそう載っている辞書が多い。何でわざわざ廃船にしたんだろう?と悩んだ。原作でそういう風にされているのか、あるいはこの辞書の意味がコミックの「HULK」の方から来てるんだろうか?ちょっと解せないところだ。
ちなみに最後の敵役"ABOMINATION"は「憎悪」だそうだ。(「サンダ対ガイラ」みたいで楽しいよな・・・ってか話の構造は似てるよね。)
個人的には記録的興行収入をたたき出したという噂のある来週の「ダークナイト」(「バットマン ビギンズ」の続編)、9月「アイアンマン」が非常に楽しみなので、その前哨戦。「スピード・レーサー」(もう一回見に行っちゃったよ)のようにのめり込むような物はないけど十分に面白い映画だったんじゃないだろうか?
アメリカでの公開順は「アイアンマン」→「インクレディブルハルク」→「ダークナイト」なんで、「ハルク」が見に行かれたのは「アイアンマン」に仕掛けがあった可能性があるのでその辺の確認もしたいし。
あ、もう一つ不満があったのを思い出した(笑)グッズが買いたくなるようなのが無い、もちょっと売る気を見せて欲しいなぁ。
だんだん暮れに向けての公開予定が分かってきたけど結構気になるのがあるのが困るなぁ(笑)
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「インクレディブル・ハルク」★★★
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