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2008.10.12

「僕らのミライへ逆回転」インプレッション

 面白いところを狙っているし、主張したいことも分かるんだけど、肝心の基本筋がオレ的に良くないので、少し残念だ。

 この辺はオレがアメリカの実状を知らないからなのか、単に脚本が拙いのかはよく分からない。

 市民のためと言う大義名分で官の犠牲になる人々や著作権権利者の振るまいなどそういった問題提起的なアプローチがあるけれど、結局、立ち退きは受け入れてしまうし、裁判にはなっていないけど一生掛かっても返せそうにない賠償請求と量刑が待っている主人公たちにこの後どんなミライがあるのかはよく分からない。

 ラストシーンへのつなぎは感動的で良いんだけど、全体的に大きな引っかかりがのこってるのでただの「お涙ちょうだいの記号」のようにも見える。

 原語が分かるほど文化に詳しければ、もっと深く分かるのかも知れないが、自分はそこが残念だと言うか悔しい。

 他にも見てるだけで分かりにくいのが、ジェリーの職業と立場。廃材置き場のトレーラーハウスに住んでいるんだけど、ここの経営者なのかただの居候なのかいまいちハッキリしない。火事を起こして咎めがないとかそういうことも気になっちゃうし。

 バカな話は全体が本当にバカな話にしてしまうのか、リアルの中にバカな設定を持ち込むSFなんかの手法をとるかどっちかなんだけど、そのバランスが本作は自分に合わないなぁと思った。

 原題は「BE KIND REWIND」、VHSビデオを返却する時に「巻き戻して返却してください」と多分日本のレンタルビデオ屋でもそうなっていると思うけど、要はそういう言葉が死語だってこと。それほど時代が進んだ意味でもVHSオンリーのレンタルビデオ屋があるってのも何かのメタファーなんだろうし、そろいも揃って、キャラに学力が怪しい連中が多いのも意味があるんだろうけど、この辺多分アメリカの実情に詳しくないと笑えないんだろう。色々あることがよく理解できないのが本当に歯がゆい感じで見ていた。

 メインの役者の演技は皆良かったと思う。ジャック・ブラックは、キレたデンパ男ジェリーを上手く演じているし、マイク役のモス・デフもかなり良い。個人的にはブスのアルマ役のメロニー・ディアスが田舎っぽいけど表情が可愛いのでブス役にもったいなくって(笑)本当に良い。

 それからこの映画のキモである「Sweded Video」(スウェーデンでリメイクという言い訳)は最高だ(笑)Youtubeでの素人ムービーが何故か面白いのと同じで、元映画を知ってる(誰もが知ってる作品の誰もが知ってるシーンを選んでるんだけど(笑))とより笑える。最後にオリジナルビデオを撮る時にレベルが上がっているのも数々のSwededがあればこそでその説得力は見事だ。

(本作でリメイクされた「ロボコップ」は2011に続編でなくリメイク版が公開されると先日報道があった。楽しみだ。)

 さらに映画公式サイト(英語)のスピンオフ企画サイト<http://www.swededfilms.com/>での投稿Swededがさらにバカっぽくて最高。

 ただ、この映画は日本では売れないだろう。背景事情が飲み込みにくいし、最近の洋画の人気の無さは異常だ。今年は本当に当たり年と言っていい程、良作が多いのに今の興収状況では、来年1月31日のデータ集計結果が恐ろしい。

 個人的には年内あと何本かは見る予定。バカ大作映画の「トロピックサンダー」も気になるし。

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