「チェンジリング」インプレッション改
多分レビュー記事やインプレッションにはいっぱい「『チェンジリング』は取り替えられた子供のことで・・・云々」と書かれているんだろうなぁ。見終わって、コーヒー飲みながらパンフを読んで気が付いた(笑)「チェンジング」じゃないのね。
ミステリーではあるもののその解決がテーマではない。神隠しにあった子供が帰ってきたら別人だった、さて母親はどうしたかというお話。日本の神隠し伝承でも、帰ってきた人が人が違ったようになっているという話はあるんだけど、この映画は素性が分かっていて、その偽の少年はロス市警が仕立て上げたのだが・・・まぁそれくらいは予告編で分かっていたのだけど、作品はあまり評価されず、演技などが評価されている今作が何をテーマに描いた映画なのかがよく分からなかったので確認に行った。
事件は、今ならDNA鑑定という手段でプロセスの証拠を探し出さなくとも偽物だと言うことは分かるのだけど、当時はそういうわけにはいかなかった。僕らは知らないけどそれだけ横暴なロス市警だったんだろう。今はどうかは分からない。結局、ドラマの主眼は母親そのものなのだけど、それだけではなくて、淡々と描きながら公的なものに対する憤りを載せているのが、クリントイーストウッド風だ。
イーストウッドのダーティハリーシリーズが好きだった人には、後年の演出家としての彼や枯れた演技をする役者の彼をあまり評価しない人が多い。オレが彼の主演作で一番好きなのは「ザ・シークレットサービス」で、それ以降の作品は確かに、派手なシーンが無く退屈に思うものもあるのだが、テーマの取り上げ方や考えさせる話をエンターテーメントの中で描ききる能力を高く評価している。
役者陣は実力もあり、安心してみていられる、アンジェリーナ・ジョリーは見ている側が苛立つくらいに子供のことしか考えられない母親を見事に演じている。ラストの光明を見いだしたシーンの微笑みへの表情の移ろいは見事だとしか言いようがない。
脇を支えるジョン・マルコビッチ(「ザ・シークレットサービス」の時の悪役やってたのが一番好きだな)なども安心してみていられる。子役も本当に見事。日本の子役であれほどの演技が出来る子がどれほどいるのか?別な観点では問題の入れ替わった二人はまぁあんなに印象が微妙に違う(その微妙なさじ加減が見事)子を良く探してくるなぁと思いながらすり替わりを見ていた。
また、映画は確かに、公権力に対しての憤りも出しているが、こっちがくみ取りすぎなのか牧師側に対しても(善意ではあるだろうが)裁判に入るあたりから同じ穴の狢的な表現が見えて興味深い。
さらにやや女性鑑賞者を意識しすぎな、事実改変がある。それは犯人側にも女性が居たことなのだが、この辺はドラマの複雑さを取り除いて、分かり易い道筋をつけるためのものなんだろうと言うことで、目くじら立てるようなものではないだろう。
それなりに評価の高い映画だったが、面白さという点での前評判はそれほどでもなかったはずだが、見に行った劇場ではほぼ満杯。かなりの集客で、割と年配層が多かったのは題材の所為だろうか?
個人的には映画としての面白みは、もう少し欲しかった。演出や監督が賞を貰うほどに評価されていないのはなるほどという感じだ。あと、PG12に成っているが、どの辺がそれに引っかかったのかちょっと首をかしげた。精神病棟のあたりだろうか?確かに怖いのだが。
現在公開中の作品ではウィル・スミスの「7つの贈り物」もかなり気になっている。 イーストウッド監督作なら、すでにアメリカでは公開されている(日本では4月公開)主演作品「グラン・トリノ」もかなり興味深い作品だ。
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