「鴨川ホルモー」舞台版インプレッション
わざわざ足を運んだのには訳がある。映画が面白く、小説がツボにはまったのもそうだ。それから芦名星や秋山奈々を生で見られるという邪な欲求というかミーハーな気持ちが有ったのも告白しておく(笑)
とにかく至近距離で見た彼女たちは映像や画像で見る彼女たちの10倍増しぐらいで可愛かった。脇役が普通の美人クラス、イケメンクラスでも主人公が男も女もそれにも増して美人、可愛い、カッコイイの記号を体現できている。そこがまた凄いと思った。
で、色々予想外な改定もあって、だけれども、ちゃんと「鴨川ホルモー」だった、面白さがキモなんだけど。
確かに映画みたいな、のめり込み感はないけれど、「その場でことが起こる事」の面白さと演技以外の基本的部分でも「プロの役者って本当にすごいや」と思った。
「当たり前じゃないか」と思うけど演技中の彼らは演技中の役としてしか動かない。衆人監視の小劇場なのに、観客へ目線も流れないし、知らぬウチに移動すべき場所へ心情を表すために動いていくことの自然さには舌を巻いた。
自分は大劇場の演劇は耳が悪いのも手伝って、苦手なんだけど、やっぱり舞台劇も捨てたもんじゃないと思った。これでしか表しようのないことがまだまだある。
例えば、芦名星演じる早良京子は芦屋が大好きでベタ惚れなんだけど、色んな場面で気づくと芦屋の横にいる。何をさしおいても芦屋なのだ。他の人がメインの演技をやっていてもそこを上手くこちらが気づくように移動して、しかし劇中の役としては気取られないように芦屋にピッタリとついていく。この演出と演技はとても自然で、まるで大学のコンパの好きな男がいる女の子の立ち居振る舞いそのものだ。
逆に安倍は不器用な男子学生そのもの。懐かしくも気恥ずかしい感じが漂って楽しかった。
それにしても映画で芦屋をやった石田卓也は見事に安倍に変わっていて同一人物だろうかと思った。こんな処も役者に感心したところだ。
確かに彼ら彼女らは映像で見ると未熟だし、舞台役者としてはこれが当たり前なのかも知れないけど、こうやって小劇場で見ると心底、プロの役者を実感できて凄く感激した。いくら美人でも普段じっと見つめられたらキモくてしょうがないだろう。舞台ではそんなことをおくびにも出さずに劇を進行させていくのだ。
で、本編の物語の話。
脚本は当たり前だが映画とも小説とも大きく違う。違うんだが伝えるべき事はチャンと伝え、「鴨川ホルモー」の持つ面白さがちゃんと伝わるのは凄いことだなぁと思う。
舞台演劇だから使える手、それだから使わざるを得ない手、色々あるもんだと感心した。
まずキャラが違う。主人公の安倍や楠木、早良はそれぞれ原作や映画とはちょっと違ったキャラになっている。安倍は少し熱血が入ってる。浪人してたこともあって斜に構えたという雰囲気はない。楠木はすぐ酔っぱらうし、すぐにキレる(笑)それから良くしゃべる(笑)早良は芦屋が好きなあまり、計算して一線を越えてしまうような女ではなくて、ただ単に感情が高ぶりやすく、気の利く人気のある女の子だ。
高村は今回もそのままなのであまり関係ない(笑)けど正直、目の前で見るとイケメン過ぎるし(笑)そういう意味では違うんだけど(笑)
それから、双子の三好兄弟は三好姉妹になっていて、(この二人も赤の他人が双子の役やってるし、見れば確かに違うのに、化粧とか衣装とか仕草とかで見事に双子に見えるから素晴らしい)。17条ホルモーの際には芦屋側についてるとか・・・かなり変えてきている。
スガ氏は小柄なメガネ男だし(笑)居酒屋でなくお好み焼き屋の「べろべろばあ」の店長OBの安倍はEXILE入りを目指す(笑)ほんの少し年上の兄ちゃんだし、青龍会メンバー以外は芦屋の元カノ以外出てこないし、かなり違うのだ。
そうそう、青龍会以外出なくってどうやってホルモーを表すの?と思うかも知れないが、チャンとそれが出来てるから本当に見事だ。
とにかく色んな事を堪能して、もう一回見たい位なのだが残念ながら東京公演はまもなく終了。もし見に行くことが出来たら、是非見て欲しい舞台だったのでここで紹介しておく。
長らく舞台は見ないと断ってたけどこうなると、あの人の舞台も見ないと不公平かな?(笑)
上演時間は1回の休憩やアンケート書いていた時間含めて3時間ほど。
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