「レスラー」インプレッション
冷静でいられなかった。
映画そのものは良くできていたし、良いシーンもあった。
しかし、あれだけの賞やノミネートをかっさらった映画としては物足りない。物足りないのだ。だがこの映画にはそれだけでない価値が自分にはある。
アメリカンレスラーらしいヤバイドラッグやセックスの話もハードではあるがらしさの一部にしか成らない。このシナリオをニコラス・ケイジに提示したらそりゃ降りるだろぉ~と思ってみていた。
すっかり容貌が変わって昔の面影を思い出せないミッキー・ロークは見事に落ちぶれたレスラーをやってみせた。ノースタントではないもののかなりタフなことをやらされていて、とても感心する。キャラクターにあった間抜けな男だがどこか憎めない。
またケーフェーなシーンもカート・アングルが言うようにWWEほど綿密ではないブックは2割の打ちあわせに、8割の即興パフォーマンス、そこでどうプロレス頭を働かせ、実現するかがレスラーの才能と能力なのだ。そこで真剣に”プロレスする”のだ。それは多分日本でも変わらない。そこに焦点が当たっていて好感が持てた。
映画の筋は少し分かりにくい心の葛藤があって、最後の部分は少し急いだ感じすら感じるのだけど、ROHの会場でファンの声援を聞いて出て行き、声援に後押しされていくランディを見ていたら、買ったばかりの週プロの三沢追悼号の裏表紙を思い出して、泣けた。
コレは紛れもなくプロレスラーの話だ。
斎藤彰俊の家に嫌がらせをするヤツが居ると言うが、そんなヤツをプロレスファンとは認めない。斎藤が殺したというなら、本当の原因は我々ファンの声援だ。三沢にプロレスを求めてきた俺たちの所為だ。それをしっかり受け止めろ。
それがプロレスファンの原罪と責任だと思う。
それを痛感した。
« 「ターミネーター4」インプレッション | トップページ | 「トランスフォーマー リベンジ」インプレッション »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「クロニクル」インプレッション(2013.12.31)
- 映画が楽しかった2013(洋画編)(2013.12.30)
- 映画が楽しかった2013(邦画編)(2013.12.30)
- 2013年観た観たい映画リスト 最終版(2013.12.30)
- 「鑑定士と顔のない依頼人」インプレッション(2013.12.17)
「プロレス」カテゴリの記事
- 「琉球バトルロワイヤル」インプレッション(2013.11.12)
- 「アイアン・フィスト」インプレッション(2013.09.08)
- 「モンスタートーナメント」インプレッション(2012.10.01)
- 「DDT武道館ピーターパン2012」インプレッション(2012.08.21)
- 「TOURNAMENT(トーナメント)」インプレション(2012.02.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント