「ノウイング」インプレッション
とりあえず悪くはない。この手の「人外から人間に警告」という企画が通りやすかったのは、やっぱりアメリカに当時の体制に対しての閉塞感があったからだろう。昨年の「ハプニング」とか「地球が静止する日」とかと被るパターンで、家族の絆に気がついていくなど、テーマも目指している方向が同じだ。けど、それらよりは悪くないと思った。
しかし、2番手3番手にしか行けない感じが最初からしている。そしてその通りのデキでもあった。
思ったよりは良くできていたという程度のことだ。
冒頭の説明部分が少し分かりにくいし、暗号に気づく件もなんだかなのである。
子供のとのやりとりや大学での講義など、病んでいるのでは?と思う父親の挙動は最初は何であんなに頑ななのか、よく分からなかった。徐々にその心中も分かってくると言うのはありなのだし、作りは好感ももてる。ただ、分かりづらいのだ。
とは言え、全体的にホラー仕込みの展開で飽きもは来ない。
また、オレだけかも知れないが、こういう、人間を超越したものがどうして警告を出す話を観ていると超越者の意図がよく分からない。いや、人類に慈悲心から全ては助けられないが一部を助けるといった行動は分かる。だが、その上で過剰に恐れさせたり、他の人にまで情報が波及するような方法をとるのかが、超越者らしくないというか、よく分からないと昔から思っている。
もっとも、コレが悪意でやってるなら別なのだし、知能が低いが化学力を持っていると言うような者たちがやっているなら別なのだ。あくまで人類を救う慈悲的な心を持つ知的生命体がそこを配慮しないのは何でだろう?と(笑)いつも思うのだ。
例えば、ありきたりに思っても「バカ話」的にニコラス・ケイジをもっとヒロイックに扱った話にしても良かったのではと思うのだ。
それから、企画時から短期間で、世界情勢が大きく変わった所為もあるのだが、この話の枠組みの暗さが、観客に受け入れられ羽化も著と疑問だ。
結局は「ノアの箱船」を「太陽フレアから脱出した謎の宇宙船」に置き換えたある意味宗教観タップリの話なのだが、すっきり終わりきらないのが苛立つのかも知れない。
ニコラス・ケイジに期待してたのはそんな事じゃないと文句が出そうだとか思いながら観ていた。
個人的には物語にSF的な新しさが足りないし、それを許せるほどのバカ成分もないし、その辺もガッカリだった。ラストの他天体のシーン以外は一見で安いなぁと思うよう様なシーンはなかったし、逆に言えば、お約束通りの凡百な話と言った印象だ。
あのラスト、蛇足の他天体でのシーンは要らなかったんじゃないかな。もっと観客にゆだねても良かったように思う。燃えて消えた親のことなどすっかり忘れた新世界の子供にそれまでのシーンとのギャップを感じたりしたので、色々スッキリ感が足りないのも個人的にはマイナスだった。
ちなみに太陽の活動に関しては、アメリカは電波状況や電力施設の運用のために天気予報のように観て予報を出している。太陽にとってはくしゃみ程度でも、地球の電波障害、電力施設への障害が甚大になると思われていて、企業などが情報をほしがっているからだそうだ。
どうせ、そういったネタに走るのなら、そんな条件下のパニック物の方が観てみたいかなぁとか思った。それこそニコラス・ケイジが映えると思うのだが。
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