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2009.07.28

「もっけ」9巻(最終巻)インプレッション

 右袖の8巻のBook Luck!のコメントで「鬱展開が次巻あたりで解決するのかなぁ」などと書いていた。確かに解決したんだけど、「もっけ」自身も終わるとは思わなかった(笑)

 重みが有りすぎたが、良い終わり方だった。

 読み始めたのは読みやすい妖怪マンガだと紹介されたのがきっかけだ。

 しかし、読み進めると、連載時がそうなのかは知らないけれども、単行本では時間軸を交錯させて、前後させることなどは平気でやっていた。順番に過程を踏まない意味は一個人の心の中のモヤモヤを感じさえて面白かったし、何かの演出上の都合だったかも知れないが面白かった。

 要は時間のどんでん返し。だから有る話では既に終わったことだと思ったことが前触れもなくこれからの話となっていたりする。

 顕著だったのはと言うかそれを分かりやすいようにするためにいたのだろうけど、祖母の存在。非常に意味深で面白かった。この祖母の気の使い方や気の使われ方を見ていると、人間っていつもはそんなに他人のことに気を使っていないけど、色んな事で繋がっているのということを感じさせてくれた。

 そこに人の有限の命の尊さと人の思いの重要性が強調されている。

 また、"妖怪"に関しても、連載当初は新鮮な切り口だった。今思うと妖怪と言うよりは"神"に近い解釈のような気もするが、キャラクターとして妖怪を使ったことは、分かりやすいし、上手く行ったのではないか?と思う。

 後半は非常にストレスが溜まる展開になって、それを解決することで大団円とまでは行かないものの、主人公達のわずかな成長を見て取れる。このあまり成長しないところもリアリティがあって良いと思った。

 こういう腰を据えたマンガがあると安心していられる。この次もお化け物を書いてくれるとは限らないが熊倉隆敏のことはこれからも気を付けておこうと思った。

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