「カムイ外伝」インプレッション
「カムイ外伝」としては30点もやれない。新機軸のアクション時代劇としてならギリギリ落第くらいの点数だろう。
でもそうなったのは・・・少なくとも役者には何の落ち度もない。
シナリオは悪いと言うほど悪くない。ただ、凡庸で、わざわざ宮藤官九郎を立てなくとも良かったのではと思った。崔監督の演出もコレまで比べてイマイチだ。
その噛み合わなさが画面からにじみ出ているのだ。
白土三平のマンガは苦手であまり数を読んでいない。「カムイ外伝」は読んだことがあるが「カムイ伝」は読んでないと言うレベルの話だから、原作がどうだったかなんてのも余りよく覚えていないのだ。
大筋の話は一致しているはず。そもそも今回の「スガルの島」はアニメの方で先行して発表されたエピソード(原案は白土三平本人)で、その後原作が描かれた奇妙な話だった。
いまこの「カムイ外伝」を取り上げた理由は分かる。「蟹工船」とかを映画にするのと同じ理屈だと思う。しかも外伝の方は原作が低年齢を意識しており、エンターテーメント要素があるので映画にしやすいと言う判断だろう。
確かにアクション映画としては面白かった。場面も工夫してあったし、役者陣も吹き替えないシーンであの動きが出来るのはすばらしい。特に小雪は確か怪我で降板した菊地凜子の代役だったはず。準備期間も少ない中であれだけのことをしてくれるのは本当に頼もしい女優だ。
個人的に注目していた芦名星も元の美人をかなぐり捨てての好演で心に残った。
それでもこの映画が駄作の方に入ってしまうのは、あの二昔前のTVゲームのようなCGだろう。動きも絵面もひどすぎる。5年前なら許せても、今年では許せない出来だ。ギャグならまだしも、実写シーンが自然の色を大事にしているのに、アレはないだろうと思う。
撮影が遅れたために作り込みが不足していたのかそもそもがそういうレベルだったのかは分からないが、本当にヒドイ(笑)行程は仕方なくとも仕上がりは監督の責任だろう。あるいはプロデューサーか。
CGシーンをもっと良い物に差し替えて、少し編集を変えるだけでかなり印象は変わるような気がするのだが・・・そこらが現状の邦画の限界なのかなあ?残念。
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