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2009.12.06

「カールじいさんの空飛ぶ家」インプレッション

 吹き替え版の3D上映を鑑賞したが、個人的には2D上映版の方が鑑賞には良いのではないか?と思った。あんまり3D、3Dしすぎない演出だったので効果が出ていない。「アバター」の予告の方が数倍、3D感があった。

 しかしストーリーは素晴らしい。見て良かったと思える出来だ。

 ただ湿っぽい所に少しハートウォーミングな話になりやしないかと思っていたが、さにあらず。老人が若者を育てるという前向きな終わり方で、これが感動を呼ぶ。

 冒頭の妻との出会いから別れまでも見事なのだし、落ちぶれてからのカールの頑なさもまた面白い。

 この辺は「グラン・トリノ」とかここ最近のアメリカ映画が持っている斜陽のアメリカをイメージした展開でマーケティング的にも成功していると言えるだろう。

 両作品とも老人が助け、育てるのはアジアの若者だ。

 失墜した名声を挽回するしようとする過去の栄光を捨てきれず、やがては自分の命すら狙うかつての英雄やカール自身の頑なさをアメリカの栄光のメタファーとし、そして妻も家も何もかも失ったはずのカールが得たものが本当に前向きなものであると言えるところが、「今のアメリカ」を象徴していて、見事だと思う。

 だから原題は「UP!」

 見終わった後にこういう形で前向きな気持ちになるのは本当に気持ちが良いものだ。

 間違いなく、万人向けに奨められる良質のアニメーションだ。

 さて、しかしながら同時にアニメーションとしてはデータの処理上の問題やカメラワークの好みの差もあるのだろうけど、あのピクサー作品の独特の間引かれた立体物感が少し寂しく感じた。この辺がそろそろ解消されないかなぁと思っている。

 とは言え併映の「晴れ時々くもり」もかなり良かった。毒のある話だが、こういうのをしっかりと作れるのが本当にピクサーの強み。

 今後もしばらく大丈夫そうだ。

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ゴテゴテした日本語タイトルとは裏腹に、アメリカの原題タイトルは極めてシンプル。 そのロゴの映画上の登場も、過去になくさりげなく短く表示。 さて、その中身は?! 全く予想してなかったことだが、 家が空を飛ぶだけではすまされない、かなり奇想天外!な展開に驚嘆。 (なんか宮崎 駿の影響も、ところどころに?) と思ったら、いつの間にか心打たれている。 こんな映画、ありか?! まいりました。 う〜ん... (この表現、グラントリノ以来) 実はNYに知り合いが行ったので、そのお土産にアメリカで発売さ... [続きを読む]

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