「第9地区」インプレッション
たまたまと言えばたまたまなんだけど、必然と言えば必然で似たようなテーマの作品が並ぶこの頃と思った。
「第9地区」は楽天的に生きてきた男が仕事を機に、一気に地獄を見る羽目になる話だ。
なんたら賞のノミネートが多いのはテーマが時代を反映しているから取り上げたというのもあるだろうが、観てみると基本筋がぐいぐいと展開して引き込まれる。
まぁ観たこともないエイリアンというキャッチコピーの安さには笑ってしまったけど。
大企業の横暴、労働者の人権無視、「月に囚われた男」と根が同じ。人種差別などのテーマや被差別地区の問題点はまさに同じ南アフリカを描いた「インビクタス」と同じだ。普遍的に扱われているテーマ、すなわち解決されていない根が深い問題だ。
しかし、そこに何か解決策を示して見せるような映画でもないのだ。この辺は観客の中に問題意識を萌芽させる程度の意味しかないだろう。
最初にも言ったが冒頭から何もかもが動いているし、特に主人公に異変が起きてからはジェットコースタームービーで、いろんなことが矢継ぎ早に進んでいって目が離せない。
その中で因果応報で差別側が被差別側に回るのも色々想起させてくれて人間の業を感じたのだが、やはり主人公の執念に共感できるかどうかが、好きになるかのキモだと思う。
ラストショット、楽天的だった夫と妻の(実際は個々のエゴでしかないのだろうけど)関係性が、人を生かし続けている唯一の力になっていることに、ジワッと来た。
クリストファーの3年はどういう意味だったんだろう。
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