「ザ・ウォーカー」インプレッション
劇中字幕では「旅人」と訳されていた"Walker"。見終わるとどっちかというと求道者的な意味と感じる。決して雑誌名に採用されている「散歩人」のことじゃない。
原題は"THE BOOK OF ELI"。最初からタイトルで、その本が何かネタバレしているので、本来そこは隠そうと思っていなかった部分だろうだ。だが隠さないとそれに興味のない人はこの映画は見に行かないだろうから、日本では良い選択だったかも知れない。
それでも"ELI"は見なきゃなんだか分からなかったのだが、"The Book"と言えば聖書のことだ。まぁ映画の中でも普通の本と両方の意味で使っているので、しゃれたダブルミーニングぐらいのタイトルなのかも知れないけど。
さて、この映画、雰囲気のある世紀末物で、出てくる悪党ももう絵に描いたようなマッドマックス(笑)なのだが、全体を通して保たれたトーンと、絵面で魅せてくれる。格闘シーンもそう多くはないが、絵面が格好良くて、好きだ。
もっとも話は最後に与えられる驚き以外は、本当にありきたり、演出はしっかりしているが、要はその本を人類の大半が死滅した大戦後、30年掛けてあるところにただ届けるために歩き続けている男の話だ。
ただ、やはり物が物だけに「宗教者」にとって、ものすごく都合が良く書かれた映画。アメリカの底辺社会やそれに支えられた強欲で傲慢な者たちへの戒めのような物もあるのだが、そういった問題点もすべて最後にひっくり返すので、そういう意味では宗教に悪寒がある物にとって後味が良くない。
なんで30年も掛かったのかとか含めて、裏読みしたくなる位に雰囲気は良いんだけどなぁ。映画の演出やパーツは良かっただけに、最後、体の良いプロパガンダにしか見えないのが惜しい映画だった。
追伸
英語でなんと書いてあったのか忘れたけど、自分の知り合いがアイスランドかグリーンランドの町で「散歩道」と書いてあったので歩いていたら、そこは夏でも"Ultimate"な装備が必要な散歩道で、遭難しそうになった話を思い出した。
あと香取慎吾を思い出して・・・(苦笑)
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