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2010.07.05

「レポゼッション・メン」インプレッション

 見終わった後の後味の悪さとそれを知るまでの爽快感が微妙なバランスでエンターテーメントとして成立している様が気持ちいいのはオレの性格が悪いからかも知れない。

 サブプライム問題と臓器売買にヒントを得たと思われる今作は、アメリカの社会問題をストレートに表現しながら世紀末趣味のアメリカのヒーロー物語だ。

 人工臓器回収人(レポマン)から人工臓器を回収される側になった男の悲哀が綴られている。が、個人的にはそこもより、作劇上のポイントになる、“後味の悪さ”を残すための仕掛けが気になっていた。割と初めから仕掛けられた伏線だったので、それが、いつどこでそれが発動するかが楽しみでしょうがなかった。

 そして、いろいろな齟齬が最後に結実し悲しい結末に結びつくところが良い。(狙って齟齬を作って、最後に解決させようとするところに監督のモチベーション高さを感じた)

 最初、心臓をやられたときかなと思っていたんだけど、ああなるほどといった感じ。残念ながらこっちの目算は少し外れていた。それにしても、絶望的なこのラストをよくこのメンツで今映画化したなという感じ。

 それにしても期待以上の出来で 企業と個人の壮絶なエゴがたまらない。

 役者も良かった。主役と相棒はいざ知らず、全身人工臓器のヒロインが好きだ。

 加藤ローサをもっと泥臭くしたような感じだが、少女と娼婦の妙なミックス感が個人的にお気に入り。

 それにしても残念ながらR指定とか諸々のこともあるんだろうけど、公開館が少ない。もう少し大きな音響の良い大画面の劇場で観た方が楽しめる映画だし、ちゃんと評価されるべき映画だと思う。

 夢オチ映画でもちゃんと面白いことが解った。仕掛け次第だ。

 それにしても今年の洋画はエンタメに厳しい現実問題を融合させた良作が多いなぁ。


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