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2010.08.02

「ちょんまげぷりん」インプレッション

 正直ありきたりなアイデアで有り体な話になる可能性が高い映画だなと思った。でも終わってみれば「うんうん」とうなずくところ大ありで、プリンが食べたくなった。

 原作は読んでいない。

 宣伝で暴露されている通り、タイムスリップが引き起こした侍の数奇な物語なのだが、アイデアが非常にシンプルで誰でも思いつきそうな話だからこそ、その中身が重要だ。

 話は最後の別れ前のビッグイベントはさておき、その他の点は大筋予想したとおりの話だ。でもただそれではお話にならない。陳腐だ。

 正直、「現代人が忘れてしまったことを侍が思い出させる話」ってのもオレにとっては陳腐なことなのだ。

 ところがなぜか面白い。そして、最後に巣鴨にやってきた理由を明かされて、「あぁそうか」と思った。

 人は「他人に認められたい」生き物なのだ。禄はあるが仕事はない安兵衛は仕事をしてそれを誉めて貰いたかった。江戸の世でも現代でもそれが故にそれが現実の物と成ると他のことが目に耳に入らぬほど没頭してしまう。

 それはヒロインとも鏡合わせで、おそらく観ている人たち大半とも同じなのだ。

 その辺りを「美味いものを作ってみせる」言わせてみたり、家事や菓子職人修行できちっとプロセスを追ってみせることで、表していたのだ。惜しむらくはカットされた有名パティシエへの畏敬の念を表すシーン(エンドロールで確認できる)などが有れば、より明確にわき上がってきたのではと思うのだが。

 主人公はアイドルなのだそうだが、しっかり訓練したと見えて、所作が安心できた。剣術は別として、箸の握り、三角食べ(これを江戸時代でやっていたかどうかは別にして(笑))とかそういうところに反応してしまう。こういうことはとても大事だ。

 出来なければ映画が成立しない。

 子役の鈴木福は「大魔神カノン」のテレビのオンバケの子。子供のつたなさがあるが、その実、演技は達者だと痛感した。

 その他にもビッグイベントで絡むヤクザ?の男に仮面ライダー龍騎やカブトでなじみのある弓削智久がいたりして、ニヤッとした。

 そして最後の最後、安兵衛が約束を果たすあの場所は「仮面ライダー響鬼」で「たちばな」として使われていた「竹むら」だ。内装は違うので撮影用にレイアウトを変えたかあるいは別の場所かも知れないが。

 監督は「ゴールデンスランバー」の中村義洋。自分の中で名前を気にしておく必要のある監督だ。

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