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2011.01.29

「GANTZ」インプレッション

 恐れ入ったとはこのことだ。SFアクション物としてこれほど完成度が高いとは思っていなかった。100点満点で95点は上げて良い。

 特撮好事家や物語を重視する人たちには手放しで喜べないところが多々あるかも知れない。けど、映画としてのポテンシャルの高さはここ何年も感じていない物だ。

 特撮が嘘くさくってしらけてしまうようなことはほぼ無い。この設定をしまい込むための後編に不安を多分に持たざるを得ないが、そうであっても大プロジェクト「デスノート」「20世紀少年」でも感じたような粗々な感じは少なくとも今作にはない。

 原作を知らないから言えるのかも知れないけど。

 自分が減点したのは、まず、冒頭の部分。

 転落した人を助けようとして死んでしまうところだ。すべての発端なのでコレが成立するかどうかが大きな鍵なんだが、原作が始まった当時はいざ知らず、現在では考えられない。直前で飛び込みでもしない限りはあり得ないシチュエーションだ。

 もう一つはクライマックスのバトルシーンの組み立てとCG。残念ながらこの部分は少し荒っぽい。

 そして、この話に結末を付けるための次回への引き継ぎだ。

 GANTZ自身には正体があってはいけないように思うのだが・・・すべてを解き明かすとそこに陳腐な回答が用意されていそうでそれが気になっている。

 しかし、本当は他の部分で加点しても良いくらいだった。

 役者も良い。主役二人も素晴らしいし、今作の二人のヒロインもとても良い。それ以外も・・・原作の絵とはかなり違うんだが、映画だけならさすがのキャスティングといって良いだろう。

 日本の特撮で正面突破でこの域に来る物があるとは思わなかった。

 シーンとしては逃げもあるけど、その設計をうまくやっているので嘘くささが出ないのは本当にすごい。

 昨年「SpaceBattleShipヤマト」のインプレッションを書いた後で知り合いに「君はあの映画について本当のところどう思っているんだ?ブログを読んだがさっぱり分からない。」と言われた。

 「分からないように」書いたんだから分からなくて良いのだが、こう伝えた。

 「映画としてはクソみたいな映画ですよ。あのメンツと金を揃えてやっておきながらあんな出来なんですからね。役者はよくやっていますよ。でもあれは彼らのキャラクターをやっているだけで役に成り切ってるわけじゃない。特撮の目を引くシーンはギャラクティカやスタートレックのモロパクリじゃないですか?コレでアバターが間に合ったらガミラスはきっとあんな表現になってますよ。画面設計は足下にも及ばないのに。」

 だけど、この映画にはそんなごまかしはしない。観に行って欲しいけど、しない。観ればわかる。

 堂々と言える。「本当に素晴らしい日本の特撮映画」。堪能した。

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