「白夜行」(映画版)インプレッション
まず最初に思ったのは映画人を侮っていたと言うことだ。コレは申し訳ない。テレビ版「白夜行」は主役のキャスティングは今作よりも好みだが、ドラマは酷かった。
原作は主人公達の描写がほとんど無い。それで逆に想像力をかき立てられて、最後にいろいろな点在した物語が嫌な感じにモヤッと絡んで終わっていくのだ。コレは小説かあるいは良いとこラジオドラマが限界の手法だ。
だからこその「白夜行」。
だから今作もその解釈の一つに過ぎない。しかし、テレビドラマと同じでは意味がないよなと思っていたのだ。
テレビドラマでは発端の事件の際にシーンの都合でハサミをいったん雪穂に渡してしまうためにいくら何でもそれはないよなと言う展開があったし、武田鉄矢が強烈にストレスを与える牽引役になったため、違う話になっていた。
時代や場所の影響も多かっただろう。
そう言う話になるんじゃないかと思い込んだのは追跡する刑事が船越英一郎だったからだ。2時間ドラマの帝王と異名を取る彼は刑事役だろうと何だろうとものすごいモチベーションで犯人を追い詰める。そんな役ばかりだ。そういう部分が先行して思い出された。
しかし、確かにそういった粘着なモチベーションはあるものの、今作の彼の役所はもう少し違ったものだった。
結果的に映画は原作と同じ主役の陰があまりでない様な進め方で、という意外に凝った作り方だった。最後にドラマチックに終わらせなかったらもう少し評価は高くなったかも知れない。
今作も多々都合の良いことが起きてしまうが、その辺りに来たときにはもう飲まれていてこのまま行こうという感じになっていて、切ない結びつきの強さを最後に感じて終えられた。
「容疑者Xの献身」もかなり難しい映画だったが映画的な解釈で上手く感涙のラストに結びつけていた。
もう少し原作の巧妙な罠の張り方を再現して役者と絵作りが上手く行っていればと思ったが及第点以上だと思う。
テレビ版「白夜行」1stインプレッション(2006/01/20のエントリー)
http://ja-bow.txt-nifty.com/netvalley/2006/01/1st_3806.html
しかし、この1月はとうとう良い映画しか見なかった。ここ数年で初の話だ。
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