「ヒアアフター」インプレッション
死後の世界が関係有ることは知っていたし、その描き方に興味も覚えたが、それよりも「クリント・イーストウッドが何でまたこんな物を?」と言う気持ちが強かった。
多くの人がそう思っていたのではないだろうか?まるでナイト・シャマランの作品みたいじゃないか?もしかして駄作?なにせ、駄作として名高い「ハプニング」のマット・デイモン()が主人公なのだ。自分もマット・デイモン似のマーク・ウォールバーグの「ハプニング」のイメージがダブって、仕方ない。
それでも観に行ったのは、「父親たちの星条旗」以降のファンではあるものの監督としての彼の淡々とした、しかし、強く人の生き方を問うような物語に惹かれているからだ。
そしてまた今作も。
唐突に起きた津波によって、人生が狂い始めた女性キャスター。すでに狂ってしまった男。大好きな双子の兄を失って途方に暮れる少年。
本当に不意に訪れる冒頭の津波のシーンは見事。近年同じようなシーンを何度も見ているが、シークエンスが本当に素晴らしくてリアリティがある。そんな大スペクタクルシーンから始まったが、本編は大げさな話はほとんど出てこない。
しかし飽くことがない。
この3人の重ならない人生は。冷めた言い方をすれば作り手の都合でロンドンへ集まって偶然に出会うのだが、丁寧に置かれた伏線と、おのおののドラマがマッチしていて、エンディングへ収斂されていく。
見事な手際で、そして主人公達それぞれの幸せを願う気持ちが残った。
もし、死後と交歓する様な物語を望んでいたら、肩すかしに合うだろう。もしくは映画自体に落胆する人も少なからず居るかも知れない。
しかし、自分はまたイーストウッド監督が好きになった。
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まずカミングアウトすると、実は監督としてのクリント・イーストウッドはあまり好きではなかった。
もちろん、対で戦争を冷酷に描写した「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」は傑作だと思っていたが。
ところが、最近の「チェンジリング」でフまずァースト・ダウン...... [続きを読む]
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