「トスカーナの贋作」インプレッション
解らない。解らない物語だ。もしかしたら解ってはいけない映画なのかも知れない。ユーロスペースを後にして円山町で少しクラクラしてしまった。
事前に評論を読み、映画の構造に興味惹かれて観に行った。だから一歩引いてその映画を俯瞰でもしているかのように眺めていたつもりだったが、話が見えてこないのだ。
軽い目眩が自分を襲う。
それに何と言ってもパンフレットや映画評とは正反対の印象をこの映画に持ってしまったから混乱していたのかも知れない。
映画評やパンフレットの解説には「元は見知らぬ男女が出会い、夫婦ごっこを演じるウチに、だんだんと」といった風に説明されている。ところが自分は「夫婦が他人を演じていたのにあるきっかけで結局夫婦に戻ってけんかをしている」様にしか見えなかったのだ。
解っているのにである。見ているとどうしてもそう思えなくなってくる。
もっとも、演出上混乱させるような演出をしているのは確かだ。間違いないのである。
いろんな仕掛けがあってどちらでも採れるようにしてあるのだが、その行き来が観ている自分を悩ませて、結果クラクラさせてくれる。
自分の印象と反対のことが書いてあった映画評すら演出の一つなのではないかと疑わせるほどに。
恐ろしい映画だ。
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コメント
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子供とハンバーガーショップにて言い争いをしているときに、中座して外で男と話をし、たばこを吸っているシーンがあった。あれは大麻の売買なのかな?それなら後半の女性の躁鬱の気まぐれさの示唆なんだろう。
投稿: Ja-bow | 2011.02.21 06:38