「ステキな金縛り」と「ザ・マジックアワー」
三谷幸喜が死ぬほど好きではないが、脚本家として魅力的な存在であるのは確かだ。
自分は「古畑」以降の人間なのでなんだが、舞台劇の世界では絶賛されることの多い才能の1人で、演劇ジャンルの幅を問わず指示する人がいる印象がある。
ただ、ドラマにおいてはハズレもある。監督作品はその能力が不安だった。たまたま、「ザ・マジックアワー」は番宣番組をみて、そのメタ構造に惹かれて見に行ったのだが、予想以上に面白かった。
舞台である守加護は外から隔離された世界で、その外と内では違う世界が広がっている。村田は請われてやって来るが、守加護での出来事は彼にとってはひとときの夢のような世界だ。
計算尽くなのか偶然なのかよく分からないけど、守加護は波止場以外はほぼセット。ライティングからなにから全て状況が変わっていく。異様なことは基本、守加護でしか起きない。
とにかくこんなに面白い佐藤浩市は見たことがない。
もっともも特撮好きとしてはタイトルが出る直前の島倉二千六のホリゾントにしてやられた部分もあるのだが・・・。
今回の「ステキな金縛り」では「ザ・マジックアワー」の村田が出ていたり、「古畑任三郎」の明石家さんまの回で使った「バナナ」のネタを蒸し返してみたり、例のごとくお遊びも十分なのだが、どうもなにかしっくり来なかった。
ケジメがない感じと言ったらいいのだろうか?
今回は意外に普通の映画っぽい設定なので、そういう場面設定にせざる得ないのだが、(突っ込みたくなるように作られた)突っ込みどころも満載で、ずっとそれなりに楽しいのだが、どうも冗長な感じがするのだ。何処で何かが起こっても全然おかしくなくなっていくので、その辺が問題なんだろう。
誰かが頑なに現実との境界を見せ続けてくれればもうちょっとのめり込めたのかも知れない。
演劇的に終わるのでなく映画的におわるのなら、法廷対決ではたたみ掛けるように怒濤の展開をもう少し作って、最後の暗くなった法廷でのシーンはエンドロールの掴みにとどめ、その後を台詞無しの演技だけで見せて、終わって、もう少し余韻が広がったように思う。
どうしてもあの「完」から後が蛇足に思えてしまう。
サービス精神が旺盛なのだろうが、やり過ぎはどうかと思うのだ。定型のパターンはそれなりに意味があるのだからもう少しと思った。
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