「ロボット」インプレッション
インド映画がこんなのばっかりだとは思わないけど、エンタメとしてのインド映画の予備知識で予想通りの楽しみ方が出来る映画だった。
YOUTUBEで見た印象通りのバカ映画としてはもちろんいろいろ勉強になる映画でもあった。
まず、タイトルと同じロゴでどかんと「スーパースター ラジニカーント」って出た瞬間にカルチャーショックだ。流石映画大国のトップスターの映画で映像も面白い。
大半のロボットシーンは基本はそのスーパースターと吹き替えの演技だが、出ずっぱりで、これでもかという展開だ。その上で売りのCGシーンもハリウッド映画並みとはかないけれど、日本の仮面ライダーの映画なんかで見る物よりは、物量、その特性を生かした映像演出もよく出来た印象がある。
この辺はそれだけのノウハウが蓄積されたからだろうけど、すばらしいと素直に思った。火災のシーンと列車大格闘のシーンが自分の好み。
すでに見慣れたCGのシーン以外にも見え見えの着ぐるみの安いロボットの演出あるし、さらに群舞のシーンはぐっと安いし、日本になじみのない演出なんだけど、トータルイメージでの違和感がないのには驚いた。
そして、映画の性格上、主役は悪役もやっているのだけど、これがこれでもかと思うほどイヤな役になっていて、それをやりきっているのもホントすばらしいと思った。
単純にヒーロー物を楽しむという点で、十分すぎる面白さを持っている。
けど、あまりその実態を知らない国の、この映画から学ぶ部分はいっぱいあった。
一番は倫理観や道徳観のような物の違いに軽く驚かされる。たぶん、試写などで見た人の「訳わからん」が面白いの部分はこの辺由来の物が多いと思った。
主人公は軍隊の代わりにこのロボットを作った。そして平気な顔をして人を殺す必要があるので「ロボット三原則」は組み込まなかったという(自国の人間は死んだら困るが他国の人はどうでも良いという理屈)し、軍人などは何人何百人と死ぬ映画だが、そこに悲しみなどはほとんど描写されない。
明示的に戦争をやめましょうと言うのは、悪に染まる前のロボット、チッティぐらいのものだ。
それ以外にも命が助かった喜びより裸を見られた恥で、死んでしまう少女が至り、赤ん坊を助け出すシーンではこれでもかと時間をかけ、その結果、チッティに賞賛が与えられるなど。
この命の扱いの差に呆然としてしまい、戸惑った。
1時間ほどカットされているのでよくわからないだけかもしれないが、本当に驚かされた。逆に日本映画の一般的な倫理観、道徳観も一歩海外に出たらあり得ないんだろうなとも思った。以前インドの人と仕事したときのことを思い出す。
いずれにせよ、今作はインド国内だけでなく海外市場に耐えうる作品にはなっているし、少なくともエンタメでは白人の作った映画以外ではこの水準の物を作らないと大きな商売にはならないんだろうなと思った。
ほんとにすばらしいワンダーイメージが展開されていて、楽しかった。
そして最後にホロッとくる。本当にわからないんだが、見事な技だと思った。
個人的には完全版は長すぎて、つらいだろうと思う。かなり疲れることになりそうだ。インターミッションを挟む映画は日本では滅多にかからないわけだ。映像ソフトではあり得るかもしれないがなおさら集中力を欠く。
珍しくたくさんスクリーンに掛かっているインド映画なので一度見てほしい映画だ。
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