「愛と誠」インプレッション
正直、何で今更「愛と誠」?と思った。漫画はヒットした。映画も何本かあったからヒットしたんだろう。でも、自分はあの当時でも古くさい香りのものだと思っていたし、テレビドラマ版もあまり興味がなかった。
だから、暴力学園物なら今の作品があるだろうし、世相も何もかも違う今に「愛と誠」をやるのがすごく不思議だった。
結果、世相なんかは関係ない、原作の保つ大河ドラマ的な部分は、尺の関係でもちろん表現しようがないので、そんな部分には配慮しない、ただ単に印象的な設定を、使って最後に伝えるテーマに特化したバイオレンス物になった。
おそらく原作に感情移入してみていた人は見られないんじゃないかと思うくらい抜かれているし、どんな映画?と言われるとバカ映画としか言いようがない。それくらいの改変だ。
だが最後に愛と誠の最も幸せな時が訪れる時の感動はちゃんとある。
三池監督はこの辺のテクニカルな脚本の流れと説得する絵作りが凄い。
ちりばめられた歌謡曲ミュージカルシーンも(ウエストサイドストーリーパロディ?な冒頭のシーンから)ゆっくり描いてるからこそ意味のある人の行動も短絡的好意にかけて、劇中で突っ込みを入れる描写、紙芝居的アニメ表現なんかも最後の幸せなシーンを作り出すのに、ちゃんと結実している。
今、2時間程度の映画化するならこれ以外に上手い方法があるんだろうか?
三池監督って凄いなぁと思った。
もっとも見終わっても、なんで今更「愛と誠」なのかはよくわからなかったのは内緒だ。
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