「ソハの地下水道」インプレッション
実は最初にどうして知って、みようと思ったのかは思い出せない。たまたま映画の記事で見かけたのだろう。ただキービジュアルと実話ベースだというところに惹かれた。
この映画はエンターテーメント、サスペンス映画として成立している。よくある単館上映の重苦しい感じだけの映画でもなく、ハラハラドキドキしながら、時には吹き出すような笑いもありながら、緩急のついた見事な映画だと思う。
大切で、大事なことでもそれだけでは人に伝わらない。真摯に懇切丁寧に話したところで、伝わらないものは伝わらないのだ。そこに面白いと思わせ、自発的に見たくさせなくてはいけない。
第2次世界大戦中のポーランド、下水道工のソハは下水道だけでは食っていけず、空き巣狙いの泥棒をしながら暮らしている。ある時ゲットー(ホロコーストが行われる時代のユダヤ人の強制居住区)から下水道に抜け道を造った物たちと出くわし、金目当てで彼らのサポートをすることになるのだが・・・。
ソハは聖人君子ではない最初から泥棒だし、金にがめついところがある男だ。部下を口汚くののしることもあるし、子供を虐待することもある。ところが必死に生きている者をみて、どうしても悪人になりきれない気持ちがユダヤ人たちを助けずにはいられなくなっていく。
劣悪な環境での生活。度々訪れる生命の危機。戦争という背景の中、追う者ナチス、追われる者ユダヤ人、ポーランド人にも、それぞれに序列や確執があり、そのエゴと葛藤の中でドラマが生まれていく。
実際はこの極限ドラマの後にもポーランドは長く大変な時代が続くわけだが、それにしてもこの理不尽な振る舞いも戦争もまっぴらごめんだと思わせてくれた。
公開劇場が少ないのだが可能なら是非。
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