「アシュラ」インプレッション
そもそも「禁断の映画化」、「最高のスタッフが」みたいなフレーズが陳腐だし、もうちょっとどうにかならないかという感じだが。もろもろスタッフの問題もありそうだ。
ロボットやメカの表現はここ数年グッと良くなってきているのだが、人物はいつもがっかりさせられる。
で、この「アシュラ」で何か変わったかを見たかった。なぜかというと、ヒット作の「タイバニ」の監督で第一人者であるはずのさとうけいいちが、その劇場版を他人に預けてまで取り組んだ作品なのである。
けど、それは部分的には良かったけど、大半では奇妙な動きを見せられて、がっかりすることになった。モデリングのせいもあるのだろうけど顔の表現と手の表現が出来ないのは致命的だ。全体の動きでも手足の長さが元の動きをしている人に合わせなすぎるのか、単位アニメーターが出来ていないだけなのか、気持ちの悪いものになっていた。
部分的に、セットの破壊シーンや全体が見えるものの中でも飛びかかるシーンや動物的な動きは割と良かったが、情感を込めてみたい顔や手の仕草がただの固まりにしか見えない。
こういう点では、まだ「もののけ島のナキ」の出来が良かったことが分かる。
実は以前こういうものを書いた。
「鴉-KARAS-」インプレッション
「KARAS」もさとうけいいち監督だ。さとうけいいちはSMAPのガッチャマンCMで抜群に格好良いシーンを作り出していたので期待していたのだ。だが、結果はこれだった。「タイバニ」は売れたが、自分はアニメーションのいまいち感で、残念ながら乗り遅れた感じだ。
今回は東映アニメーションで使われるノウハウも違うのだろうけど、2Dで描いて欲しかったという気持ちの方が強くなってしまった。
アニメ業界の惨状も有るかもしれないが、残したい人たちはどういうスタイル、技術でそれらにノウハウを残していくのか、これから大変な時期が来るんだなと思ってしまった。
3Dのアニメについてはアメリカ映画が先行しているあのスタイルではお金と才能が足りてない。それらを支える中国や東南アジアの水準に従来のアニメ業界のアニメーターがレベルアップするのにはまだ時間がかかるだろう。単純に追いかけてもだめだ。商売にならないところに金は落ちない。
従来、特殊性もあり強かった2Dのアニメの延長上のものを目指すとするにしても、レベルが下がってはだめだろう。特に劇場用とかブレイクスルーを目指す作品がこれでは暗澹たる気持ちだ。従来のままが良いと言ってしまいたくなる。
「KARAS」から7年たった。この分野の業界の歩みは遅すぎるように思う。
また、脚本も残念だった。改変部分はさておき、完結編部分への時間的飛躍が有りすぎて、そこを作り込まないと最後のシーンでは驚き以外はない。こういったことも、がっかりした点だ。
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