「アイアン・スカイ」インプレッション
シチュエーションも内容もバカ映画、大バカ映画(大賛辞)である。でも、愛しい映画だ。「ソハの地下水道」でしんみりとした実話よりのナチスの所業を見ておきながら、こういう映画も好きというか、むしろこっちが守備範囲。
第二次大戦後、どうやってかはわからないが、月の裏側に逃げていたナチス残党が、再び地上に降りてくるというアイデアは笑うしかない。しかし、そこに月の人の無知と我々との間の齟齬、ズレを見ておもしろがるのが正しい映画だ。
それだけでないところにも価値はあるのだが。
SFXもハリウッドの超大作と比べればアラもあるが、むしろ本作では味となっている。冒頭の宇宙空間表現から「これは安い映像ですよ」と宣言している様なものだ。でも、月を挟んだビジュアルはすごく好みの絵面で決まっていた。
大統領がペイリンぽかったり、ヒロイン、レナーテの父親がアインシュタインを思い出させるマッドサイエンティストだったり、アナクロなスチームパンク・・・ではないがいかにも機械のナチの宇宙船と地球側の最新鋭の科学っぽい宇宙船の対比で感心したりしながらヘラヘラと笑って最後にちょっとシニカルな宇宙戦争を見ることになる。
ただのバカ映画で終わっていないのは、ヒロインの存在が大きい。ウブで箱入り娘的な存在で本当に理想的なナチの理想をそのままに信じているが、カルチャーショックを受けて、思いっきり変貌していく様と、容姿のかわいらしさがうまくマッチしていた。
エンドロールの最後の絵が出た時にニヤリとした。そして「アイアン・スカイ2」が出来る話を聞いた。関係しているんだろうなぁと思った。
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