「抗ガン剤が効かない」という意味 を考えてみた。
2年ほど前に親父に肺ガンが見つかった。親父はちょっとでも疑わしいとすぐに病院で診察を受けるし、体が強くなかったから現役の頃から続けていた人間ドック、少し前に患った心臓病のチェックとメンテに関してはかなり細かくしていた。
もとより超がつく読書家だったのだが、自分がかかった病気については、信頼できる本やテレビ番組の情報を押さえていた。
そんなある日、「青天の霹靂」とメールが来た。
手術後は標準治療で推奨される抗がん剤を飲んで1年経過で服用を止めた。その後1年後の検査でも普通の撮影ではカゲも見つからなかった。
しかし直後に状況が悪化して、目に見えて悪くなった時には転移したガンは肝臓を支配するほどの大きさになっていた。
もちろん何もしなかったわけではない。しかし自分たちの財力や当人の体力などもろもろの事情があって、その手は間に合わなかった。
こういう話を書くと民間療法やありとあらゆる他の治療法の話をする人もいると思うが、この記事の主眼はそこじゃない。「抗がん剤は効かない」ということがどのフェースでも割と信じられていることだ。
研究者にすら、もしかしたらあるかもしれない。
抗がん剤にも強い弱いがある。得手不得手がある。それは間違いない。ある意味細胞を殺す薬だから、髪が抜けたりという副作用やそれ以外の強烈な苦しみを与える物も少なくない。
QOL(クオリティ オブ ライフ)をどうとるかということとその選択は患者とその家族にとってとても重要なことだ。
ただ、家族でももう少し抗がん剤を飲んでいたらという話をする者がいたけど、それでも今回の再発は防げなかったはずである。結論から言えば。
抗がん剤は効かなかったわけではないのだ。弱いガン細胞には効いていた。だから1約2年生きながらえてきたのだ。質の悪いガン細胞、生命力のあるといった方が良いのか、は1年以上抗がん剤に暴露しながらも死ななかったほどの強力な者で、飲み続けていてもそれは発現していただろう。
もちろん少しは出来ることが増えたかもしれない。しかし、それほど強力なガン細胞だったのであっという間に親父を蝕みに命を奪った。
それほど強力なガンには別の手立てが要ると言うことなのだ。もちろん幸いにそいつが現れない人もきっとたくさん居る。
ガンは遺伝情報のコピーのエラーだ。老化や摂取した化学物質などで壊れた細胞の補填をしている際にミスが出て、普通はそういったのは淘汰されて消えるのだけど、ある時突然に他を浸蝕するガン細胞になるものが現れる。歳をとればその危険性は増大する。
だから、そのガン細胞の登場は統計的に考えれば、悪条件を増やせばどんどん高まるわけで、何かを喰えば治るとかそういうものでなく、何か摂取しないようにしておけば、危険度が下がるというような方法しか今のところ有効でないわけだ。
ちなみに末期の親父に未認可の薬が使えないかと最後まで検討していたのだが、適合判定が間に合わなかった。仮に間に合っていても、その強い抗がん剤は肝臓に大ダメージを与えるので、諸刃の刃だったのだが。
この一件で、自分が学んだことは多いが、その中でも下記のことは伝えておきたい。
- 死因の主因は肝臓のガンだが、ガンは原発で名前が呼ばれるので、死因は「肺ガン」だった。
- 治療、特に大病の際の薬は肝臓が持ちこたえられること前提のものなので、肝臓が弱い人は不利になる。
- 遺伝情報を共有する近親者のガンは当人を好きかどうかは別にして、しっかり把握しておいた方が良い。
- 大病は情報戦。
ちなみに親父はたばこを40代までは飲んでいたがその後はぱったりやめた。オレがたばこが全くダメで近寄らないのとただの格好付けで飲み続けていたからだそうだ。
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