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2012.12.02

「007 スカイフォール」インプレッション

 前作前々作が原作回帰の続き物だったのだけど、今作は映画のオリジナルにオマージュを捧げた作品だ。

 もちろんそれは一面でしかないのだろうけど、そこから新たな物を創造する意気込みを感じて、楽しく見終えた。
 ダニエル・グレイグのボンドが出てくるまで、ショーン・コネリー(ただし、若山玄蔵の吹替だけで劇場では一作も見ていない)が一番好きだったのだが、並び立つほど好きになってきた。

 冒頭のアクション。見たこともないと言わないが、こちらの想像を超え、息をのむ暇もない次から次への場面転換から、ボンド転落までの緩急がこちらを高揚させる。

 上海、マカオとマーケットを意識した舞台、もちろんロンドンもシーンごとの空間の立体感が見事でこれは何だろうと思っていたが、IMAX上映も意識した画面設計で、見た後にしまったと思った。

 それにしても、これほど従来路線と印象が違うにもかかわらず、そして従来路線を否定するような台詞がありながら、リスペクトとオマージュを感じるのはなぜだろうと思っていたのだが、ラスト近くスカイフォール(と同時に「終いだ」とボンドが質問を打ち切った意味も含めて)が何か、我々に判るのだが、その直前に強烈なメッセージがあって、思わず落涙した。

 いわゆる新生なんだな。今に残る作品にするための。そのための決意表明的な映画と勝手に思っている。

 一緒に見ていた観客からも思わず「おお!」と声が上がっていた。

 もっとも今作の評価が、「シリーズ最高傑作」とまで高いのは敵役を演じるハビエル・バルデムのおかげだろう。彼の存在感は見事だとしか言いようがない。「ノーカントリー」で初めて知った役者だが、人でありながら人であらずといった風体で登場してからラストまで魅せられてしまう。

 (個人的には時代背景やその当時の技術、それから目指していた方向性など考えると安易には最高とはいえないと思っているけど、言いたくなるのは良く分かる)

 今年最後にアクション物で締めたい人には是非おすすめの一作だ。

P.S.

 日本の映画ファンならエンドロールの終わり付近で思わず声を上げてしまう人がいるに違いない。自分も溜飲が下がった。その選択をしたスタッフに思わず感謝したくなった。

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