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2013.01.27

「みなさん、さようなら」インプレッション

 実はタイトルの意味は観るまで知らなかった。予告編も見てるのにだ。

 小学校のこれは下校前の挨拶なのだ。「先生さようなら、みなさん、さようなら」

 12歳にして団地から外に出ず一生を過ごすと決めた男の物語。予告編を見て、この異常な設定をどう映画にして終わらせるのかと思った。普通だとスルーしてしまったかもしれないが、中村義洋監督、濱田岳主演は昨年の「ポテチ」も傑作だったので、見に行くことにした。

 PG12になっているのはモロではないが卑猥というより言葉の暴力的な物やセックスシーンが出てくるからだろう。

 これはどんな場合でもどんなジャンルでも起こりうる話で、実は自分の身可愛さで庇護されたい心が逆に狭い世間を自分が代表して守ると言うことにすり替わった男の話だ。常にどんな場合にも誰にでも起こりうる話で、それをメタファーとして、誰が観ても異常な団地から外に出ないで一生過ごそうとする男に置き換えているだけに過ぎない。

 団地の中のことは全て知りたいのも結局、悟の不安の裏返しであると思うし、何よりも本来一番分かってなければならなかったことを知らなかったことが、だんだん自覚できるようになっていく後半への流れとか、そういう配置が絶妙で、ラストの展開は目が潤んだ。

 現時点で今期最高傑作の邦画。

 去年「ポテチ」でもそう言ったか。かなりハードルが高いが、「桐島・・・」が見事にその上手を行ってくれたように、きっと今年も良い映画が観られる吉兆だと思った。

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